「私は全く霊感がないのですが、座敷わらしを見たことがある、と思っています(笑)」

 

――映画『ブラック・フィルム』出演を決めたきっかけは?

 

モーニング娘。を卒業してから舞台を中心に活動していたのですが、今回、映画のお話をいただいて、しかもその内容がホラー。経験したことがなかったので面白そうだなと思い、「ぜひ挑戦したいです」と出演することになりました。この作品は確かにホラーなのですが、その中にも愛だったり、ほっこりできる部分が織り込まれています。ホラーと聞くと、ただ脅かすというイメージがありますよね。でも、『ブラック・フィルム』は人間の嫉妬からくる恨みの恐怖なので、精神的にくる怖さがあります。そういった意味でも他のホラーとは違うなと感じましたね。

 

――作品の前半と後半で中沢沙織の役が大きく変わりますよね。その二面性をどう演じ分けましたか?

 

前半部分の沙織は本当に純粋に、ただ演技がしたくて、その姿をお母さんに見せてあげたいという気持ちが強い子なので、すんなり役に入ることができました。後半に向けて嫉妬に駆られて周りの人に仕返しをしていくところでは、空気感や目の動き、歩き方などを気をつけました。驚かす側はきっと足音を立てないんだろうなぁ、とか。

 

――モーニング娘。のイメージもあるので新垣さんはヒロインだろうと思っていたらまさかの驚かす側で意表を突かれました。

 

監督と初めてお会いした時に、「今回の作品は憎しみや悲しみのホラーであるけれど、お化け屋敷のお化けになった気分で楽しんでやってくれればいいよ」という言葉をかけてくださって、深く考えるより現場を楽しんで撮影することができましたね。

 

――芸能界の裏側も描かれていますよね。それを現役トップアイドルの新垣さんが実際に演じられましたが、いかがでしたか?

 

ドロドロした人間関係や嫉妬は、実際には見ることがないくらい大げさに描かれています。最初は憎まれる側の役だったので、違和感なく世界観に入ることができました。

 

――2014年は女優・新垣里沙が注目された1年だったと思います。その中で挑戦した今作はどんな意味を持っているのでしょう?

 

舞台と映像は全然違うけれど、もともとの感情だったり、芝居に対する思いは一緒です。舞台は遠くのお客さんにも伝わるように全身で演じる一方で、映像は目の動きや息遣いだけで感情を伝えることができるので、1年間お芝居をたくさんやらせていただいた中でも勉強になりました。撮影をしたのは舞台より前でしたが、最後に『ブラック・フィルム』が出来上がって、年末に試写会をすることができてよかったです。2015年も演技を中心に頑張っていきたいですね。

 

――完成した映画を大きなスクリーンで観ていかがでしたか?

 

そうですね・・・。舞台は一日一日、お客さんに観ていただいて、そこで感じていただけるものがあると思います。でも、映画は完成するまでどんな仕上がりなのか分からず、作品を観ているお客さんの様子も私からは見えないからどういう風に思っているんだろう?と気になっていました。そして、12月にあった試写会で私もお客さんと一緒に作品を鑑賞したのですが、ホラーということもあり、映画館で観ると迫力がすごかったですね。私自身、ホラーが苦手なのですが、今回は出演しているわけだし、そんなに驚かないだろうと思っていたんです。でも、いざ観てみたら映像に音が合わさって様々な効果が重なって一層パワフルに仕上がっていて、新鮮でした。私のなかでも納得のいく、出てよかったと思える作品になってとても嬉しかったです。

 

――舞台で演じることと、スクリーンを通して上映されて自分もお客さんと一緒に観るというのは全く違う感覚だと思います。

 

そうですね。舞台は、やはりライブなので毎日、毎回、同じことはやりますが、その都度お客さんの反応が違ったり、そこで感じるものがあります。そういった意味では映像は撮ったらそれっきりで、それを皆さんに何回も観ていただく形になるので、確かに違いはあるのですが、演じることに対しては私のなかで特に差はないですね。

 

――『ブラック・フィルム』の撮影中にホラー体験はありましたか?

 

なかったです。私たちも「何かありそうだね」と話していたのですが、監督がホラーでも現場は明るくやりたい!という方針だったこともあり、明るい雰囲気だったので怪奇現象は怒らなかったですね。

 

――では、今までで心霊体験に遭遇したことは?

 

私は全く霊感がないのですが、座敷わらしを見たことがある、と思っています(笑)。モーニング娘。に入る前で、和室でおばあちゃんと寝ていたら隅にちっちゃい影が見えて。それを話したら「座敷わらしだよ」と言われたんです。座敷わらしって夢が叶ういいお化けと聞きますが、確かにその後モーニング娘。に受かったんです!

 

――幽霊は信じますか?

 

信じますね。ホラー映画も手で目を隠してちょっとずつ観るくらいなので霊感がなくてよかったです。

 

――共演の方々とのエピソードはありますか?

 

タイトなスケジュールで撮影が進んだのであまり交流する機会がなかったのですが、実力派の方がたくさん出演されていたので一緒のシーンでは雰囲気がピリっとして勉強になりました。

 

――先ほど明るい現場だったとお話されていましたが、驚かす側として気持ちの切り替えは大変でしたか?

 

暗いシーンや、私が驚かすシーンのときは現場の空気感も一気に変わるので、スタートがかかるとサッと撮ることができました。

 

――この作品をどんな方に観てほしいですか?

 

苦手な方にはホラーは見づらいという方が多いと思いますが、『ブラック・フィルム』はホラーが苦手な方でも観られるホラーだと思います。ただ怖くて、ただ脅かすのではなく、しっかり物語があり、そこに人の気持があってのホラーなので、小さいお子さんでも観れるんじゃないかな。

 

――中沢沙織を演じたなかで新垣さんと重なる部分はありましたか?

 

この作品にかかわらず、私は演じる役に自分を重ねるタイプではないので、どちらかと言えば沙織になりきって演じました。

 

――今後も舞台など女優活動が続いていくと思います。女優・新垣里沙としての目標は?

 

2014年は本当にたくさんの舞台に携わらせてもらえました。2015年も様々な役に挑戦していきたいですね。

 

――次の舞台は音楽劇『瀧廉太郎の友人、と知人とその他の諸々』ですね。

 

はい。今回は、物語のなかにも入っていきますが、ストーリーテラー的な役割もある今まで演じたことのないタイプですね。これまでは性格がきつかったり、男勝りだったりとキャラクターが立っている役が多かったので、一歩引いて全体を観る役というのはすごく勉強になると思います。そして4月には舞台『殺人鬼フジコの衝動』の再演も決まったので2015年も自分の幅を広げていきたいです。

 

――では最後にファンに向かってメッセージをお願いします。

 

今回の『ブラック・フィルム』は怖いけれど皆さんに楽しんでいただける作品に仕上がっていますので、ぜひ観てください。2015年も色々な役を演じて多くの方に観ていただける機会を作っていこうと思っています。これからも応援よろしくお願いします!

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