「ミスワールド日本代表に選ばれたとき、実は両親が会場にいたんです。ステージ上から二人の姿が見えました。受賞した後、母には『私を産んでくれてありがとう』と伝えました。父にも『お父さんがいなかったらいまの私はいない』と伝えて、ハグしました」
と穏やかな笑みを浮かべながら、授賞式のことを振り返るのは、今年度のミスワールド日本代表に選ばれた、吉川プリアンカさん(22)。母直子さんは日本人でヨガの先生。父オルンさんはインド人の会社経営者という、ハーフ美女だ。象使いの資格を持っていることでも話題をよんだ。
父が日本に留学したときに通った日本語学校で、先生をしていた母と出会ったという。なんともユニークなのは、その家族の素顔。直子さんは、東京でインドのスピリチュアル・リーダーに出会ったことがきっかけでヨガの世界に入り、アメリカでヨガ療法士の資格を取得。07年から鹿児島の離島と東京を行ったり来たりして、ヨガを教えている。
「女性自身さんには、母が以前、取材でお世話になったそうですね。ちょっと変わっている母ですよね(笑)。エコな人なんです。自然が大好きで、太陽光と水力で電気をまかなう自家発電の家に住んでいます。それが注目されて取材していただいたようで」
そんな母からは、まさに自然体に生きる、おおらかさを学んだ。瞑想しながらヨガを教える母。突然話し出す言葉に、心に深く刺さるものがあるという。
「今回のコンテストの前に『強さの裏には弱さがある。同じなんだよ」と言われました。母としては、弱気になることがあっても、ちゃんと自分らしく過ごせば強くなれる、という応援のメッセージを伝えたかったんだと思います」
いっぽう父のオルンさんの家は、代々政治家の一族。なんとインド独立の父と言われる偉人、マハトマ・ガンジーとも親交があったという。
「曾祖父がガンジーさんとはとっても仲が良くて、彼がよく家に遊びに来ていたそうです。14日間も続けて泊まって行かれたこともあったんですって。小さいころから『良く泊まりに来たんだよ』『ああそうなんだ』と言う感じで。そんな偉人だなんて知らなかったのですが、考えてみたら本当にすごいことなんですよね」
非暴力主義を貫いたガンジーの思想が父方の家に根付いていたのか、オルンさんも、優しく穏やかな人だそうだ。
生まれは日本だが、小学校1年から3年までアメリカで、4年生のときはインドで暮らしたプリアンカさん。一部の報道では、日本の学校でいじめを受けたこともあるとされていたが……。
「色が黒いねと言われたことはあります。でも私自身それは気にしていなかったので。すると逆に周りも『日本語しゃべれるじゃん』という感じで、すぐ友達になれました。習慣や環境の違いで私自身が壁にぶつかったことはありますが、いじめはありませんでした」
父母から受け継いだ自然体で困難を乗り切ってきたプリアンカさん。これから、どんな活動をして行くのか。
「インドに住んでいたとき、貧困に苦しむ子供たちを見て、9歳なりにつらかったので、そういう子供の支援活動に、自分のエネルギーを全部注いでいけたらと思います」
びっくり家族からもらったユニークな価値観は、彼女が新しい道を切り開いていくことの力になるだろう。