中村雅子(以下雅子)「無事に初日を迎えられて何よりでしたね。お客様も大勢いらしていただいて、とってもにぎやかで。本当にようございました」
三田寛子(寛子)「本当ですね。大勢の方々に見守られて、お支えいただいて、なんとか初日を迎えられました。もう心から感謝、感謝。感謝の一言に尽きます」
10月2日、歌舞伎俳優の中村橋之助改め八代目中村芝翫(51)とその3人の息子、長男・中村国生改め四代目中村橋之助(20)、次男・中村宗生改め三代目中村福之助(18)、そして三男・中村宜生改め四代目中村歌之助(15)の襲名披露興行「芸術祭十月大歌舞伎」が東京・歌舞伎座で初日を迎えた。
親子4人が同時に襲名を迎えるという、歌舞伎の長い歴史のなかでも、初めてのこと。本誌は今回、この襲名を、歌舞伎の名門・成駒屋を支え続けた先代芝翫の妻であり、新芝翫の母である中村雅子さん(79)と、新芝翫の妻で、3人の息子たちの母・三田寛子さん(50)に話を聞いた。
雅子「初日はお天気にも恵まれて。“芝翫日和”にもならないで、本当によかったわね」
寛子「お義父様はすごい雨男でしたからね。成駒屋の大事な行事は、いつも雨でした。幸二さん(八代目芝翫の本名)と私の結婚披露宴もバケツをひっくり返したような土砂降りで。でも、今回ばかりは、お天気に恵まれて」
雅子「本当ね(笑)」
寛子「でも、ママ、私驚いたの。今年から日本で投票できるようになった海外競馬の凱旋門賞、ちょうどこの2日に開催だったんですよ。まるで、競馬が大好きだったお義父様が『僕はここにいるぞ』っておっしゃってるみたいでしょ。それに台風18号も来たじゃないですか。まるで哲明兄さん(十八代目中村勘三郎)まで、『それじゃ、僕も』って台風引っさげて、遊びに来てくださったようで」
雅子「あっちゃん(本名・敦子から三田さんは家族からこう呼ばれている)は相変わらず面白いわねぇ。それにしても今回の襲名は、瀬戸際に来ていろいろあって……。私、幸二の記事が『週刊文春』に出ると聞かされて、本当にもう、なんたることかと思ったんですよ。『あなたはこの大事なときに、いったい何をやってるの!』って、私もきつく、きつく叱ってしまいました!それに、あっちゃんは、寝る間も惜しんで、何から何まで一人で頑張ってくれているものね。でも、あなた、寝なかったり食べなかったり、平気でやってしまうでしょ。私、心配だったのよ、なんだか少しやせちゃったんじゃないかなって」
寛子「ご心配いただき、ありがとうございます。私は大丈夫です。でも、この襲名は、一門にとり大切な一大事。私がぶれてしまったら、奥さんである私まで粗相を来してしまったら、もっともっと多くの方々にご迷惑をおかけすることになると思うと、気合で疲れもふっとびますし、だから、本当に目の前のことだけを、ただひたすら、懸命にやってきています」
雅子「そのおかげで、無事にこの大切な日を迎えられたのよね。ありがとう」