「私、おばあさんの演技をするんだと思っていたの。でも脚本を見たら、ほぼ実年齢の60歳の役だった(笑)。でも普通にしてたらおばあさんの感じが出ないから、年寄りふうにしています。ラストは80歳過ぎも演じるんだけど、そこはもうファンタジーのおばあさんのような感じにね」
そう語るのは、新橋演舞場にて公開中の舞台『三婆』(〜27日)に出演している渡辺えり。共演の大竹しのぶ、キムラ緑子とは私生活でも仲よしだという。そんな3人が舞台のテーマよろしく、老後について爆笑女子(!?)トークを繰り広げてくれました。
渡辺「最近さ、セリフが出てこないと、手ぶりとかで『あれ』『あれ』ってすべて『あれ』ですましちゃう(笑)」
大竹「ふだんの生活でも『あれ、何だっけ』って(笑)」
キムラ「私も出てこない〜」
大竹「みんなおばあちゃん(笑)」
キムラ「名前が出てこないのはしょうがないけど、これから先も元気でいきたいですね。動けなくなって誰かに迷惑をかけたりしないように。そのために歩いたりしてますよ」
大竹「外国映画で、おばあちゃんのスナップを撮るカメラマンがつくったドキュメンタリー(『アドバンスト・スタイル そのファッションが、人生』)があるんだけど、私はそこに出てくるようないつまでもおしゃれして颯爽と外出するようなかっこよくてかわいいおばあちゃんになりたい」
キムラ「なれます、きっと」
渡辺「私は、祖母が夫を亡くした女性を集めた会の会長をやっていて、お菓子作りや、和裁などを教えていたんです。それを小さいころにずっと見ていて、刷り込まれちゃったみたいで。だから、80過ぎて元気があれば、若い人たちに、私が経験したことをボランティアで伝えていきたいと思ってるの」
キムラ「えりさんは、今でも若い人たちに演劇を教えていらっしゃいますもんね。私は子供がいないので、この先置いておいてもしょうがない物とかを捨て始めています。写真とかも誰も見ないわけだし。家とかも買わないようにしていたり……」
大竹「でも、あと10年、20年はあるじゃない」
キムラ「そうだけど、自分らで終わる、みたいな感じかな」
渡辺「高峰秀子さんもエッセイで、全部捨てて寄付したりして、小さな部屋で旦那さんと2人で住んでるって書いてた。有馬稲子さんは、シニア向けマンションに移って、ほかは全部寄付したそうよね。仕事もそこから通っているそうね。みんな60歳くらいから整理していくのよね」
キムラ「本当に、始まってます。どんどん軽くなりたい!自分だけになりたい!って感じです」
渡辺「それってすごいね」
キムラ「だっていらないもん」
渡辺「私、捨てられなくてたまっていく一方。家族に劇団旗揚げのポスターを捨てられたときは号泣しましたからね」
キムラ「それは悲しい」
渡辺「割れたら捨てますけど、お茶碗ひとつにも、思い出が詰まってる。あのとき、あの人にもらったものだとか思うから全部取ってある。カンガルーの器は、◯◯君に何年前にもらったものだから捨てられない!って」
キムラ「けっこう、私も泣きながら捨てます。『ありがとうございます』って」