「正直、今日が最後という実感が全然なくって。この間の最後のライブも、あっさりしたものでしたし」
そう語るのは、ハリウッド進出を目指し、アメリカ行きを宣言しているお笑いコンビ・ピースの綾部祐二(39)。4月2日放送のスポーツ番組『追跡LIVE! SPORTSウォッチャー』(テレビ東京系)に、相方の又吉直樹(36)とともに、コンビとして活動休止前最後の生放送。番組の最後に、「アメリカ行き、大きなプレッシャーがあるかと思いますが、相方として心から応援しています」と又吉が手紙を読み上げると、綾部は目に涙を浮かべた。
この出演直前に本誌インタビューに応じてくれた綾部。彼はふだんとあまり変わらないと平常心を口にしつつも、「僕、めっちゃ涙もろいんです」と語っていた。相方の温かい言葉が胸に響いたのだろう。
昨年10月、今年4月からの渡米計画を発表して話題に。その後もコンビ活動を続けてきたが、4月が近づくにつれ、「いったい綾部はいつ渡米するのか?」という周囲の声も日に日に増えてきた。
「『4月に行きます』と宣言しているのだから、『まだ行かないの?』って言わないでほしいですよね(笑)。今日までは渡米のことよりも目の前の仕事に集中してきたので、明日からフル稼働です。とにかく、ビザ取得を最優先に動き始めて。現時点で決まっているのは、4月30日でいま借りている部屋の契約が切れて、住むところがなくなるということ。それだけです」
ニューヨークはマンハッタンに住み、カフェでアルバイトをするところからアメリカ生活を始めたいと、綾部は今年初めの本誌インタビューで語っている。
「行ってみないとわからないですね。未知の世界に突入していく感じ。まわりからは『貯金あるの?』とか金銭面の心配をされますが、僕にとって不安は収入よりも言葉です。まったく英語ができないので。『私は日本のコメディアンです』という英文をサッと書くこともできないんですから。この英語力で米国生活なんて無謀すぎる、って言われますよ」
それでも挑戦したいのは、公言してきた夢のためだ。
「レッドカーペットを歩きたいという夢は変わっていません。ただ、役者としてでなくてもいい。コメディアンとしてでも、料理人としてでも、何らかの役でハリウッド映画に出られたら本望なんです。『いったい、自分がアメリカで何ができるのか?』、それを探す旅だと思っていて。大富豪と結婚して、奥さんのコネや力でレッドカーペットを歩けたとしてもいいじゃないですか。僕は、物事というのはすべてあらかじめ決まっている、という考えで生きてきたんですよ。人生に偶然はなくて、すべて台本どおりに進んでいる。だから、このアメリカ行きも台本に書かれたシーンの一つで、僕の運命だと思っています。結局、アメリカに行けなかったら、謝罪会見を開くかもしれない。それだって、台本にそういうシーンがあったということ。じつは、渡米を発表したとき、『レギュラー番組9本を捨てて』って報じられて驚きました。『あっ、そうか!』と、逆にそれまで気づかなかったことにビックリ。収入激減とか、まったく考えたこともなかったですから」
不安を数え上げたらきりがない。それでも彼の挑戦に対する決意は揺るがない。
「50、60歳になったときに、『40歳のとき、アメリカに挑戦してよかった』って思えたらいいなぁ。僕ら芸人は、笑ってくださる人がいて成り立つものなので、こうしてエンタテインメントの世界で18年間やってこられたことを感謝しています。今回のアメリカ行きは失敗するかもしれないし、成功するかもしれない。でも、何らかの形で夢を実現させられるように頑張ります。そして、いつかまた、みなさんに笑っていただける日が来るように。それまで何となく頭の片隅に、『そういえば、ピースの綾部っていたよね?』と思っていていただければうれしい。とにかく、いったん忘れられる覚悟で頑張ってきます!」