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「初めて会ったとき、純も螢もただただかわいかった。純が〈明〉だとしたら、蛍は〈暗〉なんだけど、『ご飯たべたか?』とか、気になって声をかけたくなるようなかわいさでした」

 

こう語るのは、俳優の岩城滉一さん(66)。’81年の放送開始から22年間。北海道の富良野の美しい自然と、黒板家の小さな家族の大きな愛の物語が、国民的人気を博した倉本聰脚本のテレビドラマ『北の国から』。放送開始35周年のこの春、フジテレビが全面監修し、’81~’82年までの同ドラマシリーズとスペシャル8作の全作を完全収録したDVDマガジンが創刊、話題となっている。

 

不器用だけど心揺さぶられる黒板五郎(田中邦衛)の生き方、愛らしい純(吉岡秀隆)と螢(中嶋朋子)、黒板家を取り巻く人々のドラマの中で、純と螢の兄貴的存在で2人を見守る北村草太を演じていた岩城さん。出演オファーを受けたとき「そんな北海道の電気のないところ行ってどうすんのよ」と思っていたが、本読みの場でボロボロ泣いたという。そして岩城さんの転機となる作品にもなった。

 

「この話はせつない部分も多いし、純や螢が泣いているときの顔がね、悲しすぎて耐えられない。だから芝居でもよくもらい泣きしてました」

 

撮影以外でも2人と過ごすことが多かったそう。

 

「休みの日はスキーをしたり、スノボをしたり、風呂に入れて、頭を洗ってやったなぁ。自分の部屋に2人を泊めて両脇に抱っこして寝たことも、いろんな思い出があります」

 

岩城さんで語り継がれるのは、連続ドラマ第21話のボクシングの試合で気を失い病院に搬送されたことも有名だ。

 

「吹き替えにすることで、ありきたりなドラマになるのが嫌で、自ら出たんですよね。そうしたらノックアウトで本当に気を失い、想像以上にみんなが心配しちゃってね」

 

そんな草太は、「’98時代」で帰らぬ人となってしまい、フジテレビに抗議が殺到した。

 

「倉本先生から電話をいただいて、『岩城、今度のやつで死んでくれるか?』って。それまでも何かあると電話をいただいていたんです。『もちろん、先生がそう言うなら』と即答しました。そのころ、僕は実は、年齢的にも体力的にも草太を演じるのが不安になっていて、それがバレてるのかと思うぐらいタイムリーな電話でした。純と螢が『北の国から』で育ったのと同様、僕も北村草太として富良野で20年近く生活した男なんです。僕にとって、いろんな意味で、『北の国から』は、別格の宝物なんだよね」

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