「最近、歩いていると『ドラマに出ている方ですよね?』と声を掛けられるんです。おじさんとか、サラリーマンの方からそば屋さんとかで声を掛けられることはありましたけど、主婦の方にも気づかれるようになったのは『CRISIS』に出てからですね」
ドラマ『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(フジテレビ系・火曜21時〜)では、特殊能力を持つ公安機動捜査隊特捜班の捜査員・樫井勇輔の熱演ぶりが光る野間口徹(43)。数多くのドラマにバイプレーヤーとして登場、“一度は顔を見たことがあるのに名前は出てこない俳優”とも言われてきた。これまでは街を歩いていても電車に乗っていてもそれほど周囲に気づかれなかったのに、今回のドラマ放送スタート後、そこに変化が起きているのだという。
「まぁ、明らかに、小栗(旬)、西島(秀俊)コンビがつかんでいるドラマ視聴者の方々でしょうね(笑)」(野間口・以下同)
彼が抱く仕事をするうえでのモットーがおもしろい。
「なるべくならばあまり目立たないこと(笑)。『CRISIS』の樫井役も、自分には重いと感じるときがあるんです。あそこより2〜3番手下くらいの役がいちばん居心地がいい(笑)」
主演を務めたいというお気持ちは?
「ぜんっぜんないです。むしろ、主演はやりたくないくらい。こういうことを言うとまたマネージャーに怒られますが。いやぁ、背負うものが多いから大変そうじゃないですか。脇役でフラフラしていたいので(笑)。主演をやると目立ちすぎるでしょ。そうすると僕、実力が伴っていないと思っているので、絶対に気持ちが落ちちゃうんです。プレッシャーにもなりますし」
仕事への生真面目な思いがあるからこそ、脇役というポジションへのこだわりがあるようだ。
「妻と子ども3人を養えるぶんの収入があればそれでいいと思っているので。それよりも、薄く長〜くやれればと。役者としての目標ですか?常に言っていますけど、『現状維持』です」
ドラマの樫井は嗅覚が特別に優れているという特殊能力を持つ男だが、自身の特殊能力はあるのだろうか?
「僕は、現場で、誰にも、それはもうスタッフさんにも“気づいてもらえない”という特殊能力を持っているんです。撮影中に僕の目の前を衣装さんが『野間口さんがいない』って駆け回っていたり(笑)。最初のころは落ち込みもしましたけど、いまは楽しんでますよ」
話題作でさらに知名度を上げた希代のバイプレーヤー。これからは、「野間口徹さんですよね」と、街中で声を掛けられる機会はますます増えそうだ−−。