「こっそりと布団のなかで聴いていた『オールナイトニッポン』には、オシャレで優しいお兄さんが、語りかけてくれるイメージがあります。音楽や世の中の流行だったり、男性の考え方だったりを、いろいろ教えてくれる。そんな安心感に癒されたくて、ラジオに耳を傾けるのでしょう」
こう語るのは、深夜ラジオをテーマにした小説『ラジオ・ガガガ』(双葉社)をつづった作家の原田ひ香さん(47)。「君が踊り、僕が歌うとき、新しい時代の夜が生まれる」ーーそんなフレーズで’67年10月に幕を開けた、ニッポン放送のラジオ番組『オールナイトニッポン』。ナマ声で語りかけ続けて50年、数々の伝説を生んだ同番組は東京・有楽町のニッポン放送のスタジオから生放送されている。
記者が訪れたとき『オールナイトニッポンZERO』の月曜パーソナリティを務める漫才コンビ「ランパンプス」が熱いトークを展開中。オーディションで約700組の中から選ばれた2人だが、知名度はイマイチ。無名だったタモリや所ジョージを輩出してきた『オールナイトニッポン』への出演をどう思っているのだろうか? 放送スタジオで直撃した。
「ラジオは声だけだから、顔を知らないはずなのに“聴いていますよ”と声をかけられることが多く、番組の偉大さを再確認しました」(ボケ担当の寺内ゆうき・30)
「母が学生時代にリスナー。初めて親に報告できる仕事でした」(ツッコミ担当の小林良行・27)
「そう、放送が終わったら、両親からLINEが来ます。“よかったよ”って」(寺内)
「親も聴いている“授業参観型”の番組です」(小林)
山口県のリスナーの家に宿泊したり、滑舌の悪さを直そうと話し方教室に通ったり、スタジオを飛び出したコーナーが話題となり、徐々にリスナーの心をつかんでいる。
「これからも知名度がないなりの企画をもっと考えたい。それに終電で来て始発で帰れるので、タクシー代が出ない吉本興業の芸人としては助かっています」(寺内)
「僕は初の“自転車通勤パーソナリティ”。テレビには出ていないけど、頑張っている芸人の放送を間違いでもいいから聴いてもらい、それをきっかけに聴き続けてもらえたら最高ですね」(小林)