美貌や若さに自信があった人ほど、老化に直面したときの「エイジングストレス」が大きいという。輝いていたアイドルたちは年齢を重ねた今、そんな悩みにどう対処しているのだろう? そこで、’80年代アイドルが直面した「エイジングストレス体験」と、対処法を紹介。
「いちばん調子が悪かったのは46~47歳のころ。気持ちが落ち込みがちで、ドラマのセリフはまだ大丈夫でしたが、アドリブが重要な旅番組では、気の利いたコメントが出てこない。なぜ楽しめないんだろう、と自分でも訳がわからず、葛藤がありました」
そう話すのは、11歳のデビュー以来、大映ドラマなどで圧倒的な存在感を放ち、活躍してきた伊藤かずえさん(51)。母となってからも、女優として着実に歩んできた伊藤さんが、更年期の入口に立ったときのことをこう振り返る。
「急に変な汗が出て、すごく疲れやすい。夜も寝つきが悪く、手足が冷えて眠れないという症状にも悩みました」(伊藤さん・以下同)
“この具合の悪さがあと10年も続くんだろうか。更年期だから仕方がないのだろうか”と絶望的に思ったこともあったというが、いまや「毎日が楽しい」と思うほど回復した。しかし、ここにたどり着く道は平坦ではなかったという。
「代謝が落ちたのか体重も増えてしまっていたので、ダイエットをしようと思い立ち、毎日プール通いをしたのですが……。全然体重が落ちない。落ち込みますよね」
そんなとき、テレビ番組の企画で「食事で痩せるダイエット」に出合い、独自の食事法を提唱する柳澤英子さんの指導を受けることに。
「テレビ番組でダイエットというのは戸惑いましたが。やってみると食事でこんなに変われるんだなって。いまもずっと続けています」
それまでは夜はこんにゃくやサラダだけというダイエットで、明らかに栄養不足だった。しかし「やせるおかず」は、燃焼しやすい体づくりがベース。これで伊藤さんは、200日で12キロのダイエットに成功した。
「3食バランスよくたくさんのおかずを食べること。あまり厳密にするよりも、食卓がカラフルであればよしとしています。砂糖はまったく買わなくなりましたね。これで代謝がよくなるとともに、冷えも改善。すっきりした自分と出会えて、かなり気持ちが上向きになれました」
さらに、いま毎日が充実しているのは、一昨年から始めた「書道」のお陰と言い切る。
「子どものころは、やらされていた感があるのですが、いまは自分から『やりにいく』ので気合が全然違います。書道って書くだけだと思われがちですが、『剣道や柔道といった武道に近い世界です』って先生もおっしゃっていて、とても奥の深い世界。いま2段まで昇段しましたが、実は娘のほうが上。彼女は師範なんです」
精神集中して書いていると、3~4時間がすぐにたってしまうくらい充実していると、瞳を輝かせる伊藤さん。
「墨をするときの香りもリラックス効果がありますし、墨汁では出ないかすれ具合や書き心地も、とても癒されて心が豊かになれます」