第1回「衝撃の告白までの軌跡」

「今回の SOPHIAの15周年のアニバーサリーツアーをまわるにあたって、僕のなかにある病気が発覚しまして。その検査の結果をみなさんにも報告します。病名は“ろ胞性悪性リンパ腫。血液のガンです」
3月21日、ShibuyaO―WEST公演の舞台上でSOPHIAのキーボーディスト・都啓 一(38)はファンに初めて病名を公表した。妻・久宝留理子(40)はこの日、2階席から夫の姿をそっと見守っていた。
当日深夜、さらにマスコミに向けて自身がガンであることを告げるコメントを夫婦連名で発表。すると、またたく間にそのニュースは全国に広がった。
image「自分が矢面に立つことで、同じ苦しみを抱えている人たちに何か力になれるメッセージが伝えられたら」。発表を決断した都のなかにはそんな思いがあった。
「正直いうと、いまだに信じられない気持ちはあるんです。痛みとかがないから」
都はSOPHIA15周年、妻の久宝留理子は20周年。夫婦ともども迎えたアニバーサリーイヤー。これを機に、本格的な音楽活動に復帰する妻を全面サポートしていこうと考えていた矢先の出来事だった。
ガンが発覚したのは、ほんの些細な身体の変化からだった。 SOPHIAのメンバーのなかでも普段からもっとも身体に気をつかっている都は、今回のツアーが始まる前も、例年通り、内科の主治医に身体を検査してもらっていた。そのとき、以前から左太ももの付け根にあったしこりが今年になって少しぷっくりと膨らんできたことを軽い気持ちで相談したのが今年の2月初旬。「もしかすると動脈瘤かリンパの病気かもしれないので、すぐに検査をしましょう」
そう主治医にいわれ、翌日、MRIをとった。その足で、2月1日から始まっていたSOPHIAのツアーのリハーサルに向かった。リハを終え、スタジオから出ると携帯の留守電に医師から「早急に病院に来てくれ。血液検査をするから」という

が何回も残っていた。
「これは“ヤバイな”とすぐに思いました。俺の家族どうなるんだろう?SOPHIA のツアーどうしよう、他の仕事は?と考えてるうちに身体が震えてきて。病院の駐車場に車を止めて妻に電話しました」
そのときは「血液検査に行ってくる」とだけ伝えた。そして院内に入ると、医師から「悪性リンパ腫の疑いがある」と即座にいわれた。悪性リンパ腫が血液のガンであることはすぐに理解できた。身体に気をつ
「何の痛みもないのに、まさかこの自分が? 疑いってどれぐらいの%の疑いなんですか? 仮に、もしそうだったとしたら治りますか?」
都は矢継ぎ早に質問をぶつけた。
「血液検査をしてみないと何ともいえません。ただ、このガンにはよく効く薬がありますから、抗がん剤治療をすれば大丈夫です」。そう医師に告げられ、都は冷静さを取り戻した。次に考えたのは、家族にどうこのことを伝えたらいいかということだった。都は医師に頼み、一緒に自宅に来てもらい、医師から妻にこのことを伝えてもらうことにした。説得力を持って妻に伝えるために、都が選んだこの告知方法。そこには、妻を少しでも安心させてやりたいという都なりの妻を思いやる気持ちがあった。

 

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都さん、久宝さんの胸中が語られます

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