「読者のみなさんは『ケチ』『渋ちん』、あるいは『セコイ』などといわれるのが恥ずかしいですか? 私はこれらの言葉を褒め言葉ととらえています」
そう語るのは、経済アナリストで“ケチの第一人者”ともいうべき森永卓郎さん(60)。最近、バラエティ番組などで芸能人が意外な「どケチ」エピソードを披露しているのをよく見かけるが、森永さんはそんな流れを熱く肯定。ケチに徹することで享受できるメリットについて語ってくれた。
「世間が『どケチ』だと思ってくれると、生きるのが楽になるんですよ。たとえばテレビ局の楽屋では、お弁当が3人分用意されています。私とマネージャー、そしてスタイリストさんの分なのですが、私はいつも1個食べて、2個を持ち帰っています。そんな私を見て、あるとき有吉弘行くんが私に“ケチだぬき”というあだ名をつけてくれました。そしてそこから『ケチだぬきだから仕方がない』という空気に変わり、いまや持ち帰り用の袋を置いてくれるようになりました。こういうポジションを獲得できたら、しめたものです」
まずは、「ケチと呼ばれることを恐れない」。そのうえで、気楽に楽しく生きるための森永さん流「どケチ哲学」を教えてくれた。
■ケチ道は一日にして成らず
「どケチの道はダイエットと同じ。毎日積み重ねることで1カ月、1年にするとリターンがあるという構造なので、継続が大切です」
■捨てるモノは宝の山
「行きつけのスーパーの店長さんと親しくしているので、売り物にならない野菜や果物があると袋いっぱいに詰めてタダでくれます。お店側も廃棄物として処分するのは大変なので、私が引き取れば助かる。『ケチこそ美徳』なんです」
■ケチは賢さの証し
「賢くなければケチにはなれません。たとえば私はポイントカードを40種類ほど使いこなしていますが、これは管理能力に優れていないとできないことです」
■“情報強者”がケチ道を制す
「あらゆるものが割引になる時代。私の場合は、飛行機のチケットは早割などを利用したり、愛用のパソコンは中古品だけど、状態のいいものを選んだり。ケチは情報と知識の積み重ねなのです」
そんな森永さんがリスペクトするケチ仲間は、ハイヒール・モモコさんと松本明子さんだという。
「モモコさんと一緒にロケに行ったとき、八百屋さんで開口一番『おっちゃん、ほかす(捨てる)もんないか?』と言っていて度肝を抜かれました。松本さんも工夫のある方で、ホテルに泊まるとシャワーキャップを持ち帰るとのこと。『ラップ代わりに料理の残りものにかぶせるのにいい』と。さっそくまねしています」
生活コストを極限まで下げる大きなメリットはもう1つ——。
「お金に縛られることがないと、不正に手を染める必要もありません。常に自由でいられて、クビになっても怖くない。自分の正義をどこまでも貫けるのです」
あなたも明日から、気楽で自由な「どケチ」ライフはいかが?