(C)2018「劇場版コード・ブルー ―ドクターヘリ緊急救命―」製作委員会 画像を見る

’08年7月にスタートした、山下智久主演の医療ドラマ『コード・ブルー —ドクターヘリ緊急救命—』(フジテレビ系)は、最高視聴率21.2%とヒット。続く’09年1月にはスペシャル版が放送され、23.1%を記録。

 

’10年の1月期には2ndシーズン、さらに7年後の’17年7月には、3rdシーズンが放送された。連続ドラマはどれも、同クール内で「視聴率1位」を獲得した大人気ドラマだ。若き4人のフライトドクター候補生の医師と、1人の看護師の成長を描き、実際にドクターヘリの全国普及にも一役買った。

 

「根底にあるテーマは『人間愛』。リアルな姿を描くことで、若い世代に向けて、失敗しても前を向く人物たちを描きたかったんです」

 

そう語るのは、同ドラマシリーズの制作を務めた増本淳プロデューサー。10年間の集大成として、7月27日に劇場版が公開の『コード・ブルー』(全国東宝系)。それに先駆け、増本さんがシリーズの誕生秘話を語ってくれた。

 

【秘話1】山下智久の役名は当初「白鳥巧」だった

 

「主人公を選ぶにあたって、若い世代に影響力のある人を考えたときに、当時新進気鋭のアイドルだった山下智久さんが浮かびました。それまでの出演作から、美しくナイーブな男の子のパブリックイメージがあったので、企画当初は“白鳥巧”という役名で、野心家のライバルから刺激を受けながら成長していくピュアな心を持った人物にしようと考えていました」(増本さん・以下同)

ところが、山下に初めて会ったときのイメージはまったく違ったという。

「男っぽい硬派で陰のある佇まい。強いまなざしにも惹かれて。それで彼をタフでクールに描こうと急きょ変更。ライバル役として考えていた藍沢をオファーしました」

 

【秘話2】白石役を呼び寄せたガッキーの透明感

 

「実は、藍沢以外でも、最初は僕が覚えやすいようにと白石恵(新垣結衣)、緋山美帆子(戸田恵梨香)、藤川一男(浅利陽介)と、ドクターたちにはそれぞれに色の名前をつけていました。白石は、よいものにも悪いものにも染まれる白のイメージ。そこで、透明感あふれる新垣さんにお願いしました。当時20歳で医師役はチャレンジだったと思うのですが、これから何者にでもなれる可能性を秘めた若手医師を、繊細に演じてくれました」

 

情熱家でありながらクール、かつ野心を持つ緋山役は、戸田恵梨香に声をかけた。

 

「かわいい野心を見せられる人がいいなと。シリーズ以前、戸田さんと仕事をしたときに『もっと難しい芝居をしたい』と、女優としての向上心が全身からみなぎっていたのを思い出したんです」

 

【秘話3】藤川のイメージは『ふぞろいの林檎たち』

 

「いちばん悩んだのは藤川でした。お調子者で明るい半面、臆病なのを隠す見えっ張りの中間色。失敗ばかりしても愛される人。たとえるなら、『ふぞろいの林檎たち』の柳沢慎吾さんのイメージでした。そんなとき、映画『ALWAYS続・三丁目の夕日』で、堀北真希さんに恋する見えっ張りの硬派な役を演じた浅利さんを見て、彼が失敗する姿はチャーミングに映るのではないかと思いました」

 

【秘話4】冴島の名前の由来は“あの小説”から!

 

「冴島はるか(比嘉愛未)は、井上靖さんの小説『あすなろ物語』の、主人公の少年にあすなろの木の説明をしてくれる憧れの女性“冴子”が名の由来です。『あすは檜になろう、あすは檜になろう』としても、でも絶対になれない。報われない努力から始まり、やがて未来に向かって懸命に生きるあすなろを体現しているのが冴島。比嘉さんは、NHK朝ドラ『どんど晴れ』のヒロインを演じていたときは、明るくかわいい雰囲気でしたが、意志の強さも感じた。だから、コンプレックスが強く、憤りを人にぶつけるという、違う一面を出してほしかった」

 

5人のメンバーは、すべて増本さんの“第一希望”の人選がかなったという。

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