「ここまで世間的に炎上が多いと、ブーム的な捉え方になりますよね。『ハイハイ、またか』みたいな(笑)。そうはいっても実際に自身が炎上したら、誰でも少しは気にしますよね。ドラマの題材もそうですが、SNSだとはいえ、中身はやっぱり人と人だと思うので。心ない言葉とかをかけてくる人もいますが、そこにはその人なりの理由や悩みがある。そうしたことも考えさせられる作品になっています」
こう語るのは女優の真木よう子(36)。12月に『炎上弁護人』(NHK総合)で、約1年ぶりのドラマ復帰を果たす。真木が演じるのはネットの闇に挑むアウトローな弁護士・渡会美帆。自身初の弁護士役だが、オファー当初は及び腰だったという。
「弁護士は法廷で戦う人という印象が強かったので、オファーをいただいたときは難しそうな役がきてしまったなと思いました。専門用語などのセリフの羅列ばかりなんじゃないかと……。でも、今回は本当に自分が助けたい依頼人の弁護だけをやっているという設定。しかも話題のSNSを取り上げる役ということで、そんなにお堅い役ではないなと(笑)」
実際演じてみると真木と共通するところもあったようだ。
「私も美帆には“人を助けたいという感情で動く女性”という印象を受けたので、その通りに役作りしました。自分自身も正義感は強いほうだと思っているので、感情移入はしやすかったです」
真木にくわえ、宇崎竜童(72)や小柳ルミ子(66)といった個性的な共演者も注目を集める本作。なかでも仲里依紗(29)とは姉妹同然の仲だったそう。
「仲さんとは、ぶつかるシーンが多いんです。でも愛があるので、姉妹げんかみたいな感じ。段々と2人の距離が縮まっていきました。仲さんが可愛いから本当に妹みたいに思えてきて。昨日の撮影でも仲さんの鏡の前にお菓子セットを置いて、『お疲れさま』という思いを添えて帰ったんです」
和気あいあいとした現場の雰囲気が伝わってくるが、ドラマ自体は“ネット炎上との闘い”というシリアスなテーマ。真木は炎上した仲演じる主婦を救う役どころだ。だが、彼女自身は意外な理由でSNSから離れているという。
「パスワードを忘れちゃってログインできないんです! 私パソコン持ってないので、もうログインできないみたいなんです。だからあれはもう更新されないです(笑)。普段の生活では、炎上しないように気をつけているつもりはないです(笑)。普通の生活を過ごしているだけで炎上のしようもないですからね。炎上って、いったい何でしょうね。台本にも『炎上といっても本当に書き込んでいるのはほんの数十人だ』というセリフがあるのですが、きっとそういうことなんだと思います。私も、そんなことを気にしないで生きたいと思いますね」
今年1月から個人事務所で活動していた真木だが、9月にレプロエンタテインメントとマネジメント契約の締結を発表。今後、活躍を目にできる機会はますます増えそうだ。
「独立した当初は、本当に自分の力でやっていきたいと思っていました。個人事務所は今でもあるのですが、そこで頑張っていきたいなと思っていたんです。でもオファーの窓口など、やっぱりそうしたお力添えが必要だなと感じていて。そうしたときにご縁をいただきました。今後、演じてみたい役はたくさんあります。たとえば身体が動くうちに、もう一度派手なアクションをやってみたい。でもこの年齢だからこそ、いろんな役をできるチャンスじゃないかと思うんです。だから今は本当にいただく仕事をありがたくお受けするということしかないです。お仕事を頂くのは当たり前ではないし死ぬまで成長しながらお芝居をやっていきたいと思います」