「僕が歌っている後ろで、中井(貴一)さん、香取(慎吾)さんがバックコーラスとして歌ったり踊ったりするんです。もう恐れ多くて」
そう語るのは、三谷幸喜の最新舞台『日本の歴史』(世田谷パブリックシアターにて12月4~28日まで。大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて’19年1月6~13日まで)に出演する新納慎也(43)。「卑弥呼の時代から太平洋戦争までを2時間半でまとめる」という、仰天ミュージカルだ。
三谷作品には、’07年から出演している新納。’16年大河ドラマ『真田丸』で演じたちょっとダメなお坊ちゃま、豊臣秀次役が話題となったが、個性的な存在感からミュージカル界の異端児として20年活躍している実力派である。三谷作品といえば、台本の上がりが遅いことでも有名だが、今回は違ったようで……。
「今回、初めて台本が製本されてきました。ビックリでしたね。三谷さんの気合が違うのかな、と。でも、最初は台本を読んでも内容はうまく説明ができない複雑さだし、どんな仕上がりになるか、まったく想像がつきませんでした」(新納・以下同)
登場人物は約50人。それを総勢7人のキャストによって演じ分けるのだが、通し稽古をやるうちに、物語の奥深さに気づかされたそう。
「教科書で見たことがこんなに身近に自分の琴線に触れるのか、と衝撃でした。教科書の中の歴史は、今現在も続いていて、その流れの中に僕自身もいる。『もう人ごとではない』という恐怖さえ湧きました。すごい作品です」
中井貴一とは初共演。演技や歌声、人間性も素晴らしい、と絶賛する。
「若手にもスタッフにも誰にも垣根がなくてみんなに優しいんです。初ミュージカルなのに、誰よりも歌がお上手。僕は、何十年もミュージカル俳優やってきましたけど(苦笑)。1人何役もあるので、稽古は衣装替えなどで運動会みたいに忙しいんですが、中井さんのシーンをみんな見たがっていました」
香取慎吾とは’09年の舞台『TALK LIKE SINGING』以来、2度目の共演となる。
「香取さんは『今夜絵を描くんだ』と言った翌日、お芝居に変化が出るんです。より深く役に入り込んでいたりして。きっと香取さんはクリエートな作業をすることによって、感情を柔らかくして演技にも傾倒していくタイプなんだと思いますね。まさに天才タイプ!」
豪華なキャストも見どころのひとつとなっているが。
「ただのミュージカルではありません。見た方も僕らのように歴史の中に入り込んでしまうような体感をしてほしい。そのために僕らも懸命にパワーを発揮します」