奥田瑛二 津川雅彦さんとの思い出「本になるくらいある」

今年も多くの偉大なスターが、たくさんの思い出をわれわれに残してこの世を去った。そんな故人と親交が深かった方々から届いた、愛あふれるラストメッセージを紹介。題して、「大好きなあなたへ 最後のラブレター」――在りし日の姿に、心からの哀悼の意を表して。

 

■朝丘雪路さん(享年82・女優・4月27日没)、津川雅彦さん(享年78・俳優・8月4日没)へ。奥田瑛二(68・俳優)

 

お別れの会で津川さんと朝丘さんの写真が並んでいるのを見たとき、思わず「なんだか不思議な感じがしますね」と声をかけてしまいました。それくらい一緒にいる姿を周りに見せないご夫婦でした。

 

でも、津川さんの事業が立ち行かなくなったとき、それを助けたのはほかでもない朝丘さんです。津川さんは、泣きながら「ありがとう、雪江(朝丘さんの本名)」とおっしゃっていましたね。その場にいた僕は、お2人が強い信頼関係で結ばれていたことを知っています。

 

僕と津川さんの付き合いはもう40年以上。弔事を読ませていただくことになり、筆をとったものの、思い出が次々とあふれ出してきて、どうにもまとまらない。カミさんには「ちゃんと紙にしたためなさい」と言われたんですが、どうしてもできませんでした。

 

なんせ、本が一冊書けるくらいの思い出がありますから。だから当日、遺影を前にして心に浮かんだことを、そのままお別れの言葉にさせてもらいました。

 

その日の夜。家族が寝静まった後、僕は部屋で一人、スコッチを飲んでいました。すると、津川さんのいろいろな表情や楽しかった思い出が頭に浮かんできて。気付いたときには、涙がぼろぼろとこぼれていました。訃報を聞いてから、思い切り泣いたのはそれが初めてのことです。

 

そうそう。僕の弔事を聞いた多くの人たちから「まるで津川さんが乗り移ったみたいだった」と言われました。きっと津川さんは「俺はまだここにいるぞ!」と言いたかったんだと思います。

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