「息子が大学を出た後のことを考えると、ちょっと寂しくなりますね……」
こう語るのは、今年の10月で還暦を迎える、作家でミュージシャンの辻仁成さん(59)だ。今回、人生の節目を目前に控えたいまの心境や老後について本誌の取材に応じてくれた。辻さんはこう続ける。
「先日、バーで若い女性に『辻さんはまだまだ大丈夫! がんがん恋愛してください』ってからかわれたんです。僕はすかさず『じゃあ、僕の老後の面倒みれますか?』と冗談で返したんですよ(笑)。その場は笑いに包まれるんだけど、そこにいた人から『見えないけど、辻さん、60歳だもんねぇ』と言われてショックでしたね(笑)」
辻さんは現在、移住して16年になるパリと日本を行き来しながら男手ひとつで息子(16)を育てている。最近、高校生になった息子にガールフレンドができたと、辻さんは嬉しそうにこう話す。
「その子はパリから車で1時間半ほどの田舎に住んでいて、だから毎晩、遠距離の長電話状態。スピーカーを通しての会話だから家中どこにいても筒抜けなんですよ。もっともフランス語なので何を喋っているのかよくわかないのですけどね(笑)。でも、恋をしている若者同士の会話だってことは、長年生きてきた僕にはわかるんです」
子育ても山場に差し掛かり、老後について考えることが増えたという。
「老後のパートナーがほしいとは思うんですが、なかなか恋愛をする気になれなくって。それに、女性は介護人じゃないですから、僕みたいな年寄りの面倒なんか見たくないでしょうし。暗くってすみません(笑)でも、健康には気を遣っていますよ。息子とは45才の年の差があるので、できる限り元気に生きてやることが親の役目でもあるわけだから、毎朝、有機人参をジュースにして飲んで、朝と夕方、4~5キロ走って、長生き計画を実行しています。コンサートも控えているし、今は体力が大事なんですよ」
誕生日を迎える10月には、ミュージシャンとしての長年の夢だった会場、東京・オーチャードホールで還暦コンサートを開催することが決まっている辻さん。息子への愛が若さの秘訣なのかもしれない。
【INFORMATION】
「辻仁成“RENAISSANCE”~60th ANNIVERSARY CONCERT~」
10月12日(土)渋谷・Bunkamuraオーチャードホール
<チケットぴあ最速先行発売>
5月11日(土)12:00~5月19日(日)23:59
http://w.pia.jp/t/tsujijinsei/