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令和初のゴジラ映画は、ハリウッド製となった。新作映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(5月31日公開)で、’14年公開の前作に続いて出演を果たした渡辺謙(59)。ゴジラと同じく、昭和・平成・令和と時代をまたぎ、渡航先でも評価される、彼の仕事の流儀とは――。

 

渡辺謙といえば、いまや日本を代表するハリウッドスター。その威厳に圧倒されると思いきや「(映画、)面白かったでしょ」と、気さくに語りかけてくる。そんな軽やかさが、国内外を問わず活躍できる理由であろう。

 

渡辺は前作に引き続き、生物学者の芹沢博士を演じている。

 

「今回はさらにスケールアップしたし、前作で描かれた社会と文明や、人類と科学の葛藤も踏襲している。さらに『ゴジラや怪獣は、地球や人類にとって一体どういう存在か?』という問題を科学的視点で追いかけているので、よりオリジナル版の主題に近付いたんじゃないかと」

 

前作では原発や核の脅威を描いたが、今回はテロや環境破壊、巨大自然災害という問題にも踏み込んでいる。ゴジラ映画は「僕らが漠然と抱いている不安の代替表現」だと渡辺は言う。

 

「震災だったり原発事故であったり、そういうもので痛んでいる現実というのは忘れるべきではない。時代が令和になったからって全部チャラになりましたということではなく、肝に銘じておかなければならないという気はしています」

 

核実験で目覚めたゴジラも、忘れてはならない人間の「業」だ。

 

「うまい名前だなと思うのは、ゴジラを英語表記で書くと、GODZILLAで、GOD(神)という言葉が隠れている。それも一神教の唯一無二の『神』ではなく、『怒れる友人』みたいな、畏敬の念を持って受け止めざるをえない存在。非常にアジア的な『神』のあり方ですが、おそらく西洋的宗教観の人でも感じる何かがあるんです」

 

とはいえ、本作はエンタテインメント。伊福部昭の音楽や歴代ゴジラ映画のオマージュもふんだんにちりばめられている。渡辺は前作に続いて、ゴジラの発音にもこだわった。

 

「前作では、『アメリカでは“ガッジーラ”と呼ぶけど、俺たちは“ゴジラ”だよ』というやりとりがあって。だけど、ニューヨークのプレミアで芹沢が“ゴジラ”と呼んだところで観客から拍手が起きた、アメリカでも“ゴジラ”だというのは実証済みなんです(笑)」

 

ゴジラに国境がないように、渡辺の活躍の場にも国境はない。

 

「どこでもいいんです。『面白いな!』と思うものがあればチケット握りしめて行く感覚は、ここ15年ぐらい変わらない。ただ、国外の仕事は港から大海に出る感じかもしれない。僕は生き慣れてるんで、比較的安全な航路を知っているだけ。でも、ここ5年ほどはブロードウエーやウエストエンドの舞台で、まったく未知の航路だった」

 

渡辺には、海を渡った「サムライ」のイメージがよく似合う。

 

「いやー、もっとズルズルしてます(笑)。逆に『私はこうです』と裃を着ちゃうと入っていけない。あんまり武装しないほうが受け入れてもらえる気がします。その中で譲れないことだけは主張したり戦ったりします」

 

最近は、体調も万全のようだ。

 

「昨日も後輩たちと飲んだくれてました(笑)。三浦春馬くんのブロードウエーミュージカルの日本版を見たんです。本当に海外で勝負できるぐらい頑張ってる。彼らのために何ができたとか全然思ってないですけど、格好よく言うと追いかけてきてもらってる感じがして、『いつでも追い越してゆけ』と。すごく楽しみです」

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