主演映画『エリカ38』より 画像を見る

年の離れた“親友”が遺してくれたのは45年ぶりの主演映画作品だった。映画『エリカ38』の女詐欺師役で新境地を開いた浅田美代子(63)が、樹木希林さん(享年75)への感謝の思いを明かす――。

 

「今でも、『美代ちゅあん』と、ばあばから電話がかかってくるような気がします。いつもそばにいてくれていると思うんです」

 

そうほほ笑むのは、今月7日に公開された映画『エリカ38』(東京・TOHOシネマズ シャンテほか全国で上映中)で、主演を務める女優の浅田美代子。デビューとなったドラマ『時間ですよ』(TBS系・’73年)で共演以来、樹木希林さんとは、45年の長きにわたり、「ばあば」「美代ちゅあん」と呼び合う仲だった。

 

昨年9月に亡くなった希林さんが人生最初で最後の“企画”を務めた映画『エリカ38』は、’17年4月に投資詐欺で国際手配され、タイで逮捕された女性詐欺師の事件がモチーフだ。

 

日本でだまし取った金を、タイで同棲中の若い男性ホストに貢いでいたこの女性詐欺師。“聖子ちゃんカット”に、生脚&ショートパンツ姿で38歳を自称していたが、じつは62歳だったことで話題を呼んだ。映画では、浅田が女性詐欺師・エリカ役、希林さんがその母親役を演じている。

 

日ごろから浅田の自宅で過ごすことの多かった浅田さんと希林さん。2人でこの事件を報じるワイドショーを見ながら、希林さんが「美代ちゃんはこういう悪女役をやったらいいのよ」と言ったという。

 

「『やりたいけど、誰も私にこういう役、オファーしないでしょ?』『そうなんだよね、イメージがねぇ……』と話していたんですが、2カ月ほどしてから、『美代ちゃん主演で、監督も決まったから。低予算だけどがんばりなさい』と、ばあばから電話があって。驚きと、あまりのうれしさに涙が出ました」

 

浅田の知らないところで希林さんは、プロデューサーや監督をこう口説いていたという。

 

「あの子には60歳になってもアイドルの色香、艶があるのよ。女性詐欺師の事件、浅田がやったらおもしろいと思わない?」

 

こうして浅田の45年ぶりとなる映画主演が決まったのだ。そんな希林さんも当初、自身が映画に出演することは迷っていた。

 

「ばあばは『“企画”として私の名前がクレジットされるから、出演までするとウチウチの映画っぽく見えちゃう』と渋っていました」

 

マネージャーを付けず、自分で仕事を決めていた希林さん。断るときは、即決だったそう。

 

「すぐに断らないのは迷っているのだろうと思っていました。あるとき、『私が演じると、作品の格が上がるからねえ』と、ばあばが冗談っぽく言い出したんです。私が『そうなんだよね~ばあば』と答えると、『でしょう? じゃあやるよ』って(笑)」

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