「最近、農業がやりたいんです。今、自分にいちばん必要なことは自然だと思っていて、それなら農業から学ぶべきだ、と。というのも、僕自身、強い意志を持って日々を過ごしている人間ではないので、何かよりどころがほしい。で、それは何かと考えたら自然でした。まずは、身近なところでパクチーやバジル、みょうがを作ってみたいですね。香草は育てるのは難しいけれど、好きなんですよ。植物に教えを請いたい、そんな今日このごろです(笑)」
そう語るのは、10月2日に放送されるスペシャルドラマ『最上の命医2019』(テレビ東京系・21時~)で主演を務める斎藤工(38)。第3弾となる本作は、誘拐、脱獄、オペ室占拠、とさまざまな事件が連続して起きる。主人公の小児外科医・西條命(斎藤)は生命と向き合い続けることができるのか。
「’11年に連続ドラマで放送されていたときから今も、番組の掲示板には書き込みが続いていて、なかには、ドラマをきっかけに小児外科医を目指したという人もいるそうです。若い人たちが命先生のことを知ってくださっていることがうれしいですし、僕にとっても、西條命は目標とする人物。8年と長く寄り添ってきたからこそ、彼の崇高な精神が自分の中に息づいているのか、今では、命らしさみたいなものが自分自身の物差しの一つになっています」
連続ドラマ放送から8年が過ぎた。
「僕自身は、8年前と比べてそれほど成長していないというか、むしろ落ち着きたくないと思っています。これから10年先、20年先を考えたら、興味の裾野をどんどん広げていきたいし、それで恥をかいても、擦りむいても、かさぶたになったら分厚くなって強くなるのかなぁ、と。“守らない”という守り方を手に入れようとしている最中です」
『最上の命医2019』の撮影では、共演した岸谷五朗の存在感に圧倒されたという。
「岸谷さんが演じられたのは、とてつもない事情を抱えた脱獄犯。撮影中、背筋が凍ったこともたびたび。撮影後に岸谷さんと握手を交わしたとき、その体温から岸谷さんがこの作品にささげた思いが伝わってきたんです。物語も、立場を超えた人間同士の対話が鍵になりますが、対話って言葉じゃない、魂は魂にしか動かされないんだなあと実感しました」