2018年7月に事実婚を発表し、2019年9月に長男が誕生した、はあちゅうとしみけん。活躍する業界もファン層も違う異色夫婦が、「これ、どうする?」「あれ、どう思ってる?」を赤裸々に語り合う本誌連載「家族会議 議事録」の第13回。「夫立会い出産」の是非から、夫妻の話題は意外な方向に……。
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はあちゅう「無痛分娩の前に打つ『硬膜外麻酔』の注射が、めちゃくちゃ痛くてさ」
しみけん「僕が、出産立会いで病院に到着したときには……」
はあちゅう「痛いこと、全部終わってた」
しみけん「人生でいちばんの痛み?」
はあちゅう「かもしれない。痛すぎて、体裁なんてどうでもよくなったよ。最初のうちは『看護師さんにどう思われてるんだろう?』なんて考えてたけど、どうでもよくなる。『全裸で道路に放り出されても、恥ずかしいって感情は、たぶん湧かないだろうな』ってくらい痛かった」
しみけん「立ち会ったこと、よかった?」
はあちゅう「よかったよ! むしろ、私が生死の境をさまようくらい痛いときに、ほかのことをしてたら、それがどんな理由であれ許せない。『不公平』って思っちゃう」
しみけん「それって、人によったりしない?」
はあちゅう「うん。『獣みたいに叫んでいる自分を、夫に見せたくない……』って女性もいるだろうし。男性も、成熟してない人だったらドン引きするんじゃないかな。私のブログのコメント欄にも『出産を旦那さんに見せてしまったら、もう私のことを女として見てくれないんじゃないか』って、不安を書き込む人がいた」
しみけん「うーん、そんなこと言う女性は、結果として女として見られなくなると思うな」
はあちゅう「なんで?」
しみけん「『浮気されたらどうしよう』って悩む人ほど、浮気されるのと一緒。自己肯定感が低すぎる。起こってほしくない未来を、なんで口にしちゃうかな。コメント欄の人も、夫に抱かれない理由は自分の自己肯定感の問題なのに、出産のグロを見せたせいにしたがってるだけ。責任転嫁だよ」
はあちゅう「私は、『子供を産む段になっても、まだ女として見られたい奥さんがけっこう多いんだ!』って思ったよ。うちなんて、すでに『恋愛関係』というより『家族』でしょ」
しみけん「いや、そういうのも関係なくてさ。たとえば『石原さとみさんの出産シーンを見たあとに抱けますか』っていったら、男は全員抱けるでしょって話」
はあちゅう「ただ、妻が石原さとみさん級の美女だったとしても、長期間一緒にいて嫌なところをたくさん見ちゃったら、立ち会ってなくたって、きっとセックスレスになる」
しみけん「だから結論は、出産立会いはセックスレスの原因にならない。セックスレスになる人は、立ち会わなくても、なる」
はあちゅう「ただ、私はもうあまり、性の対象という感じで、けんちゃんを見てないよ、妊活のときから。人妻の友人たちに聞いても、みんなやっぱりセックスレス。うちの場合、けんちゃんが外でそういうことをしてくるお仕事だから特殊だけど、みんなは性欲をどうしてるのか……。もしかして、だからみんな不倫するのかな?」
しみけん「まあ、そうだよね(笑)」
はあちゅう「パートナーが複数いるほうが、みんなが円満に暮らせるんじゃないかな」
しみけん「多夫多妻ってこと?」
はあちゅう「そう。生涯をともにするパートナーと、期間限定の恋愛対象パートナーを同時に持つとかね。すごくメンタルが安定すると思う。『この人はすごくイケメンだけど、生活力はないから、やっぱり家には稼げる旦那がいてよかった』とか。比較によって、互いのいいところが際立つ。生涯パートナー(夫)に不満が湧いても、『期間限定パートナー(恋人)にはない、こんないいところがあるじゃない!』って考えられれば、尊敬できる関係を保てる気がするし。不倫を肯定するような発言に聞こえるかもしれないけど『私には、死ぬまでこの人しかいないんだ』って状況は、すごいストレスだから」
しみけん「旦那にずっと、ときめきを求めるのは無理だよね。ときめきは、家庭とは別に外に求めるといいかも。そういう対象が、たぶん氷川きよしさんとかなのかなと」
はあちゅう「ジャニーズとかね。女からすると、夫に対してときめかなくなるのは、生物的な『ブレーキ』がかかるんじゃないかなって思う。人妻の友達が、『旦那に求められると気持ち悪い』って言ってた。」
しみけん「『ウェスターマーク効果』にも近いかもね。縁戚関係になると、性的対象から外れるという研究。恋愛・結婚・性行為は全部別タスクだから、それぞれの役割を分担する別々のパートナーがいてもいいよね、極論すれば」
はあちゅう「AV男優の森林原人さんも、同じことを言ってた。『パートナーは3人いたほうがいい』って」
しみけん「皆、行きつくところは、そこ」
はあちゅう「結婚制度にねじれがあるよ。この人生百年時代、早々に生物的な『ブレーキ』がかかってるのに、たったひとりにずっと性欲を抱き続けないといけないって、おかしいよ。社会からの押しつけでしょ」
しみけん「かつて婦人科が、女性の“性のはけ口”になってたの、知ってる?」
はあちゅう「何それ!」
しみけん「欲求不満の女性が、医者に性的なマッサージを求めたんだよ。だけど医者が、『もう無理、そんな体力僕にはありません』となって発明されたのが、バイブレーター」
はあちゅう「それはともかく(笑)。産後のパートナーとの関係性変化や性欲の処理って、誰も答えが出せてないから、いろんなアウトプットをしていったほうがいいよね。たとえば、パートナーが風俗で性欲解消するのを、許すかどうかとか」
しみけん「それ、来週話そう(笑)」
【はあちゅう】
1986年、神奈川県生まれ 慶應大学在学中より、ブロガー活動を開始。会社員経験を経て、2014年、フリーに。ブログ「旦那観察日記」で、夫婦生活を鋭意発信中。
【しみけん】
1979年、千葉県生まれ 1998年にAVデビューし、出演本数は約1万本の現役AV男優。最新刊『しみけん式「超」SEXメソッド』(笠倉出版社)が発売中。
取材&構成・稲田豊史
(週刊FLASH 2019年11月26日号)