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「希代のワル」と父に罵倒された男性との大騒動から20年余り。何かにつけて“親不幸”と揶揄されてきた娘は、当時背負わされた8,000万円もの借金を、父には何も相談せず、返し続けてきたというーー。

 

「世間をお騒がせした“例の男性”との件では、父に『別れろ』などと言われたことはありません。彼のこと、父は大嫌いだったとは思います。でも、そのころ母が言ったんです。『相手がどんな人であろうと、娘のボーイフレンドのことは好きじゃない。父親って、そういうものよ』って。確かに、たとえば彼がもしエリート医師とかだったとしても、父は同じように“大嫌い”だったと思います」

 

大きな瞳をまっすぐに向けて、梅宮アンナさん(47)は語り始めた。

 

’19年12月12日に、慢性腎不全で亡くなった俳優の梅宮辰夫さん。享年81。’73年、36歳のときに睾丸がんにかかり、’16年には十二指腸乳頭部がん、’19年1月には腎盂・尿管がんなど、生涯6度ものがん手術を受け、80歳を超えてから、週3回、4時間にもおよぶ人工透析治療も。葬儀は近親者のみの密葬形式で、約100人が参列して執り行われた。

 

「私、あのときに抱えた借金をずっと自分で返していて、最近、すべて払い終わったんです。このことは父は知らないまま、旅立っていきました」

 

アンナさんは’01年に結婚、翌年に百々果さん(18)を出産し、直後に離婚している。

 

「恋愛、結婚、離婚、借金と、全部自分でケリをつけてきました。意外かもしれませんが、私は1人で考えて、行動して、答えを出してきたんです。そういうところは父譲りで男っぽい。そう、私は梅宮家の“長男”なんです」

 

そんなアンナさんが、今いちばん心配しているのは、母のクラウディアさん(75)のこと。

 

「精神的にも経済的にも父に依存して50年近く生きてきた母は、まだショックから立ち直れていない状態。『しっかりしてね、泣かないの』と、私が支えています。母のお友達に、泊まりに来てもらったりすることもありますが、病院などには私が付き添い、1人にしないようにしているんです。母の悲しみや痛みを私がどれだけ理解できているかわからないけれど、いかに母を寂しくさせないか、そればかりを考えています。今は自分のことより、母と、娘の百々果のことが優先です」

 

冷蔵庫の扉を開けると、料理好きだった祖父のことを思い出し、涙を流すこともあるという百々果さん。今はアメリカの大学への進学を目指しているという。

 

「ビジネスについて学びたい、と。私が“1人でもちゃんと生きていけるように”と育ててきたせいか、『お金のことを人に任せるのは嫌だし、人にだまされるのも嫌』と、はっきりしてるんです。何といっても将来の目標は『CEOになる』ですから」

 

母のケアと娘の進学が落ち着いてからのことにはなるが、アンナさんにもやりたいことがある。

 

「何年か前に、自分の限界に挑戦したくて始めた趣味があるんです。それは、大自然の中を走るトレイルランニング。しばらく父のこともあり、できていなかったのですが、そろそろ久しぶりにまた、山を走ってみたいですね」

 

’18年3月、生誕80年と芸能生活60周年を祝う会として催された、梅宮辰夫さんのディナーショー。見守ったアンナさんの「梅宮辰夫の娘でよかった」の言葉に、父は「早く嫁に行けよ!」と笑顔で返した。

 

「いやぁ、母にも結婚しなさいよって言われるんですけど、やっぱり1人が好きなんですよね。誰かのお世話になるとか考えられない。面倒を見たくなっちゃうような人が現れたら、考えるかもしれないけど……やっぱりないな~(笑)」

 

涙を拭い、たくましく歩き続ける“長男”の姿に、辰夫さんは天国できっと目を細めていることだろう。

 

「女性自身」2020年3月10日号 掲載

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