『ポケットいっぱいの秘密』アグネス・チャンが語る松本隆

松田聖子、斉藤由貴、近藤真彦、Kinki Kids……。時代を代表するアイドルたちの大ヒット曲をはじめ、数々の名曲を世に送り出した作詞家・松本隆(70)が今年、作詞家活動50周年を迎えた。その独特な世界を生み出す原動力は何か。“彼をよく知る人の証言”から迫ります。

 

「『ポケットいっぱいの秘密』の歌詞をもらったとき、すごく面白い曲だなと思いました。ウィットがあるというか、女のコと男のコの姿が見えるようで、こういうことが自分の身に起こったら恥ずかしいなって。軽快でハッピーな曲だったので、印象深いですね」

 

そう話すのは、自身も今年デビュー50周年を迎えたアグネス・チャン(64)。松本隆がはじめてアイドルに詞を提供したのがこの曲で、当時、松本は「魂を売った」といわれたこともあったそうだが、アグネスはこう語る。

 

「松本先生からうかがったのですが、あるテレビ番組で、養護学校の子どもたちがみんなでこの曲を歌っているのを聴いたんですって。先生はすごく感動して『作ってよかった』と思ったそうです。すべての年代、子どもたちに好かれる歌だというのはすごいですよね。このエピソードが、私が後に関わることになったユニセフの活動と、どこかでつながっているような気もします」(アグネス・以下同)

 

当時はちょうど時代の転換期。“結婚したら家に入る”という古い価値観から抜け出し、“結婚しても働き続ける”という選択をする女性も増えつつあるころだった。

 

「私もアイドルだけを続けていてはいけないとカナダに留学したのですが、日本に戻ったときに先生が復帰作として『アゲイン』という曲を書いてくださった。留学から帰ってきた女性を受け止めてくれますか? という意味の歌詞で、私へのメッセージを込めて書いてくれたんですよね。詩を書いてくれるたびに、どうして私がいま考えていることがわかるの? という驚きとうれしさがあるんです」

 

そんなアグネスは現在、三男が大学院を卒業し、ついに子育てが終了したという。

 

「子育てが終わった私に、先生がどんな詞を書いてくれるのか。想像するだけで楽しみなので、書いてくれないかなあ。今年は私のデビュー50周年を記念してコンサートをやるので、先生にもぜひ来てほしいです。それにしても50年もの間、先生ほど充実した人生を送った人もいないですよね。先生だけが充実していたのではなく、先生の詞がたくさんの人の人生を支え、感動を与えて、充実させた。偉大なアーティストです」

 

「女性自身」2020年3月17日号 掲載

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