2018年7月に事実婚を発表し、2019年9月に長男が誕生した、はあちゅうとしみけん。活躍する業界もファン層も違う異色夫婦が、「これ、どうする?」「あれ、どう思ってる?」と赤裸々に語り合う本誌連載「家族会議 議事録」の第36回。3月に発売された、しみけんの新刊制作の裏側とは……。
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しみけん「最近、『夫婦の家事負担が不公平』ってネタが続きすぎてない?」
はあちゅう「それで、また思い出した。書類は、だいたい私が書いてる! 保活の書類、子供の予防接種の書類、マンションの契約書、駐車場のシャッターキーの返却書類……」
しみけん「息子関係は、確かにお願いしちゃってるなぁ」
はあちゅう「どっちかに事務作業の担当が偏っちゃう夫婦って、多いと思うんだよね。得意なほうがやってしまうのか、先に気づくからやってしまうのか。私、けんちゃんの原稿まわりも、だいぶやってるよね?」
しみけん「この対談原稿も(笑)」
はあちゅう「私が窓口だよね。上がってきた原稿を、私が一回全部チェックして、修正入れたものをプリントアウトして、けんちゃんに渡して、『何日までに戻して』って全部指示してる。けんちゃんを窓口にすると、一生編集部に戻らないから」
しみけん「その点については、はい(笑)。こないだも、12月に出る予定だった某社の本が、僕が締切りを守らないせいで3月になってしまって。ご迷惑をおかけしました。最後には編集者さんから、『期をまたぐと叱られるんで、ホテルに缶詰めにします』って言われた」
はあちゅう「その本の進行、最終的にLINEグループに私が入ったんだよね。けんちゃん、担当編集さん、私の3人。ギリギリの進行だったから、ちょっとでも遅らせられない。だから、私も入ってスケジュールも把握して、けんちゃんのお尻叩いて、原稿チェックして、修正箇所も細かく書いた。私の本じゃないのに、ゲラの修正、全部私が息子抱っこしながらしたよ」
しみけん「あれはすごかった。ありがとう」
はあちゅう「『編集協力』とかで、クレジットを入れてほしいくらいだよ」
しみけん「あとがきには、入れたんだよ」
はあちゅう「けんちゃん、日常的に締切り遅れすぎ。担当さんに迷惑かけまくりだよ。私は、締切りがあるとソワソワしちゃって、自分ではボール持ちたくないから、なる早で返す。だから社会人になってから締切りに遅れたこと、たぶん一度もないよ。けんちゃん、未読メールもほっとくでしょ? 私は未読メールが一通でもあると嫌だなあ」
しみけん「そんなに数はないけど、『再送します』ってメールは、よく来る(笑)」
はあちゅう「私の場合、編集者さんは私から返信がないと『何かありましたか?』って心配するよ。いつもすぐ返事するから、返事がないと異常事態」
しみけん「僕みたいなのが相手だと、編集者さんは苦労するね……」
はあちゅう「私、けんちゃんから聞いてAV業界のルーズさにびっくりしたよ。絶対、仕事できないなって」
しみけん「スタジオ入りの時間に『起きる』男優とかいるくらいだから。『撮影は確実に押す』ってわかってるからだけど」
はあちゅう「それ、許されるの?」
しみけん「時間どおり行ったら行ったで、3〜4時間待ちが当たり前の世界。だから、多少遅れて行っても間に合っちゃうのよ」
はあちゅう「私だったら耐えられないよ。撮影当日に飛ばす人もいるっていうじゃない。それでなくても2時間とか平気で遅刻して、延長分のスタジオ代やカメラマンの拘束費、『誰が払うの!?』って思っちゃう」
しみけん「はあちゅうは、仕事でそういう経験ないの?」
はあちゅう「ある撮影のとき、共演者さんが寝坊して2時間遅れてきたよ。でも、その方はフォロワーが数十万人いて……。私は、『次の予定大丈夫かな……』ってやきもきしながら、彼女がゆっくりメイクしてるのを、じっと待ってた。そういう場所では、フォロワー数がそのまんまヒエラルキーだから(笑)」
しみけん「AV業界でも超売れっ子の女優さんは、そういうときある。なかなか撮影が始まらなくて、『何待ちですか?』って聞いたら、連れてきた犬がおしっこしないからって。『気分上がり待ち』ならわかるけど、『犬のおしっこ待ち』って(笑)」
はあちゅう「すごく実力がある人なら、それが許されるかもしれないけど、私なんかが、もし締切り破りやドタキャンをやりたい放題したあげく、本が売れなかったら、当然恨みを買うでしょ。だから、せめてそこはちゃんとして、売れなかったとしても『はあちゅう、頑張ってたのにダメだったね」って言われたいのかも。保険が欲しいの」
しみけん「それはそうだね。」
はあちゅう「幸いなことに、『はあちゅうは締切りを守る。レスが早い』って知れわたってるみたいだから、ほかの人に断わられたんだろうなってお仕事もいただくよ」
しみけん「なんで、ほかの人に断わられたってわかるの?」
はあちゅう「依頼書の宛名が、前の人のままになってたから(笑)」
しみけん「うわ……。ちなみに誰?」
はあちゅう「お笑い芸人の○○さん」
しみけん「向こうは、送ったあと気づいて真っ青じゃない?」
はあちゅう「それが、気づかないの。みんなギリギリでやってて、パンクしてるから(笑)」
しみけん「まあ指摘しても嫌な感じになるしね。僕も、間違ってても指摘しない」
はあちゅう「ただ、とある女性芸術家の事務所と間違えられて、『故郷の●●県で凱旋講演してください』ってオファーがあったときは、さすがに『間違いです』って伝えたけどね(笑)」
【はあちゅう】
1986年、神奈川県生まれ 慶應大学在学中より、ブロガー活動を開始。2014年フリーに。近著に『わくわくする未来をつくるためのお守り言葉』『子供がずっと欲しかった』がある
【しみけん】
1979年、千葉県生まれ 1998年にデビューし、出演本数は約1万本の現役AV男優。最新刊に『AV男優しみけん仕事論0.01 極薄!』(扶桑社)がある
取材&構成・稲田豊史
(週刊FLASH 2020年5月26日号)