(撮影:加瀬健太郎) 画像を見る

「認知症と診断されたからといって、オレの中で何かが変わったということはありません。いきなりすべてわからなくなったわけでもないし、オレはオレのまま。いつもどおりの毎日が続いているような感じなんですけどね」

 

そう語るのは、本誌連載「ゆるゆる人生相談」でおなじみの漫画家でタレントの蛭子能収さん(72)。あの蛭子さんが認知症にーー。

 

7月9日に放送された『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京系)で、記憶力が著しく衰えたことから専門医を受診した蛭子さんは、アルツハイマー病とレビー小体病を併発している軽度の認知症であることを告げられた。

 

「物忘れがひどかったけど、年のせいかなと思っていたら、認知症と言われたことは、ショックと言えばショックかもしれません。ボケたらおしまいというイメージがあったし、何もできなくなると思っていたけど、オレ自身は普通に暮らしているし、認知症はそんなに怖いものじゃないと思いました。だから街を歩いていても『おう蛭子さん、認知症になったんだったね』とか明るく声をかけてもらっても、オレは全然、構わないんですけど……」

 

と蛭子さんは語るが、認知症の公表には、家族に迷惑をかけたくないという思いもあった。

 

とくにレビー小体病は、アルツハイマー病に次いで、認知症の主な原因になる病気で「レビー小体」という特殊なタンパク質が大脳に蓄積して、神経細胞を破壊。認知症の症状が進む。その特色は初期の段階で「幻視」があることだ。

 

蛭子さんのマネージャーがこう証言する。

 

「洗濯カゴの衣類を見て、奥さんが倒れていると思って叫んだり、デパートの売場の中を電車が走っていると言いだしたりと、少し前から幻視があったようです。また、日常生活でも、とくに朝や、夕方から晩にかけては混乱がはげしくなり、1人で入浴すると、髪を3回も4回も洗ってしまうことがあるようで、奥さんの介護が不可欠なときもあります。認知症の進行を遅らせるためにも、今後もできる範囲で仕事をしていきたいと蛭子本人も語っています。また周囲に認知症であることを理解してもらうことで、家族の負担が少しでも軽減できると思い、認知症であることをあえて公表しました」

 

献身的に支える奥さんに対する感謝の言葉も蛭子流だ。

 

「いろいろやってくれるんですよ、すごくありがたいと思っています。料理も手早くササッとやるし、うまい料理は……食パンですね!」

 

すかさず隣にいたマネージャーが「それはダメです! せめてフレンチトーストにしてください!!」とダメ出しする。ボケているのか、狙っているのか、わからない切り返しは以前と変わらない。認知症であろうがなかろうが、蛭子さんは、蛭子さんだった!

 

「女性自身」2020年8月18日・25日合併号 掲載

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