2018年7月に事実婚を発表し、2019年9月に長男が誕生した、はあちゅうとしみけん。活躍する業界もファン層も違う異色夫婦が、「これ、どうする?」「あれ、どう思ってる?」と赤裸々に語り合う本誌連載「家族会議 議事録」の第47回。避けては通れない夫婦喧嘩。その解決方法を考えます。
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はあちゅう「こないだ、とある夫婦の喧嘩を、けんちゃんが仲裁に行ったんだよね」
しみけん「夫婦ともに知り合いでね。僕の仕事中に、奥さんのほうから電話がかかってきて、すぐ向かったよ」
はあちゅう「何があったの?」
しみけん「詳しくは言わないけど、中立的な立場で話を聞いて、お互いの意見とちゃんと向き合って、『また爆発しそうになったら僕を呼んでください』ってルールを作って帰ってきた」
はあちゅう「私の昔の知り合いは、『彼女が激昂すると刃物を持ち出すから、そうなったら隣に住んでる友達に来てもらう』って言ってた。『彼女は第三者の目があると、落ち着いて話せるから』って」
しみけん「カーッとなってる人も、第三者には、聞く耳持つんだよね」
はあちゅう「私たちの、この連載もだよね。こないだの『家事どっちがやるか問題』で険悪になったときも、取材という形で第三者が論点を整理して、落ち着かせてくれる側面があるから(笑)」
しみけん「そうそう!」
はあちゅう「夫婦は、『喧嘩したら、まずこの人に相談する』人を、前もって決めといたほうがいいと思う。2人のことをよく知ってる人を『喧嘩仲裁人』にする」
しみけん「いいね。よくテレビで見る、ひきこもりの子供を部屋の外に出す企画は、親が『出てきなさい』と言っても絶対出てこない。けど、不良少年をかくまう家の長みたいな、いい意味でどこかの『おせっかい』な人が言うと、『なんだよてめえ、関係ねえだろ』って言いながらも出てくる。“おせっかいな第三者”って、すごく大事」
はあちゅう「近所の世話好きおばさん、みたいな人がいないよね」
しみけん「都会は、他人事に介入しちゃいけない、みたいな空気があるからね」
はあちゅう「それこそ、コロナで家庭内にいろんな問題が噴出してるなか、家の中のこと、夫婦の問題を相談できる外の人は必要だよ。ゴッドファーザーみたいな。昔は見合い結婚の仲人が、その役割を引き受けてくれてた。うちがお願いするなら、小柳津林太郎さんかな(笑)」
しみけん「『バチェラー・ジャパン』2代目バチェラーの(笑)。ご近所だしね」
はあちゅう「私たち2人のことをよく知ってて、冷静で、頭がいい。適任だよ。ご本人に了解取ってないけど(笑)。やっぱり、仲裁人は男性がいいと思う。妻側の女友達が来てピーチクパーチク言われても、夫としては、けっこうしんどいでしょ」
しみけん「万が一暴れられたとき、押さえつける腕力も必要だし」
はあちゅう「冷静、すぐ駆けつけられる、世話焼きで人好き。ほかに向いてる資質は?」
しみけん「空気が読める、かな」
はあちゅう「結婚する段階で、そういう人をひとり立てておきたいね。日本って夫婦カウンセリングみたいな習慣が根づいてないから、夫婦の問題を外に出すのが、すごくはしたないことだって思われる。そのせいで、人知れずDVがおこなわれたり、いきなり離婚になったりする。民間のカウンセリングはあるけど、『あいつに俺たち夫婦の何がわかる』ってなるかもだから、もともと自分たちを知ってる人を立てたほうがいい。小柳津さんみたいに(笑)」
しみけん「婚姻届に書く『証人』が、それにあたりそうだけど、『自分が認めた人じゃないと嫌だ』という心理はあるだろうね。男って、そういうところがあるよ。何を言われるかより、誰に言われるかを重視する」
はあちゅう「たしかに、親身になってくれないカウンセラーに1時間1万円とか払って、決めつけでいろいろ言われたら、それはそれでムカッとくる。カウンセリングは、相性大事だから」
しみけん「僕、カウンセリングやろうかな。夫婦喧嘩仲裁カウンセラー」
はあちゅう「呼ばれて出張する感じ?」
しみけん「うん。でも、どっちかが刃物を持ち出したら、止められる自信はない(笑)」
はあちゅう「あと夫婦の問題って、『へんに介入すると逆恨みされる』っていうよね。夫婦関係のギクシャクしてる妻が、夫婦共通の友人に、旦那の悪口を言うとするじゃない。友人としては『一緒になって、旦那の悪口を言ってほしいのかな?』と思って、それに同調するでしょ。ところが、夫婦仲が戻った途端、妻は旦那に『あの人、あなたの悪口言ってたよ』と伝えて、2人から嫌われちゃうんだって。私も、昔、知り合いからずーっと旦那の悪口が送られてきたことがあったんだけど、だんだん読むのがしんどくなるんだよね。『解決したいというよりは、聞いてほしいだけなのかな』とも思うけど」
しみけん「ネガティブワードは、相手のパワーを奪うからね」
はあちゅう「だからたとえば、『私は息子をインターナショナルスクールに入れたい、けんちゃんは公立に入れたい』みたいに意見が割れたとき、2人だけだと感情のぶつかり合いになっちゃうから、双方が小柳津さんにプレゼンしてジャッジしてもらえばいいんだよ。そういう仲裁人なら、いいかも」
しみけん「小柳津さん、この記事を見たら驚くだろうな(笑)。『オ、オレ!?』って。よろしくお願いします(笑)」
【はあちゅう】
1986年、神奈川県生まれ 慶應大学在学中より、ブロガー活動を開始。2014年フリーに。近著に『わくわくする未来をつくるためのお守り言葉』『子供がずっと欲しかった』がある
【しみけん】
1979年、千葉県生まれ 1998年にデビューし、出演本数は約1万本の現役AV男優。近著に『AV男優しみけん仕事論0.01 極薄!』(扶桑社)がある
取材/構成・稲田豊史
(週刊FLASH 2020年9月1日号)