2018年7月に事実婚を発表し、2019年9月に長男が誕生した、はあちゅうとしみけん。活躍する業界もファン層も違う異色夫婦が、「これ、どうする?」「あれ、どう思ってる?」と赤裸々に語り合う本誌連載「家族会議 議事録」の第49回。ポジティブ・ネガティブで比較すると、夫婦の性格は正反対。その効用とは?
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はあちゅう「今日は、夫婦のポジティブ・ネガティブのバランスについて考えたい。私は嫌なことがあると『死にたい……』ってなる人だけど、けんちゃんはムカつくやつを『殺してやる!』ってなる人だよね(笑)。つまりネガティブ×ポジティブ夫婦。ポジティブな人ってさ、細かいことを気にしない、もしくは気づかないの?」
しみけん「うーん。あるいは、気づいても気づかないふりをしてる。アホなふりをしてるほうが、楽だから。逆に、ネガティブなはあちゅうは、ポジティブな僕のことを、どう思ってる?」
はあちゅう「尊いな、って(笑)。ポジティブな人と一緒にいると、それだけで体にいいと思ってる。逆に暗い人といると、それ自体がけっこうなストレスで気が気じゃない。けんちゃんからは、メンタルの安定をもらってるよ」
しみけん「はあちゅうが落ち込んでるとき、僕は基本ほったらかしだよね。一回は寄り添うけど、リアクションを見て『あ、これは放置だな』と思ったら、放っておく」
はあちゅう「それはある意味正しくて、私は一度ひとりになりたいんだよね。悩みをいったん自分の中で整理したいから、ギリギリまで口に出さない。けんちゃんは対照的に、悩みや思考が途中段階で全部、漏れ出してる。その場で私に教えてくれるね」
しみけん「ちょっとずつガス抜きして、ストレスを溜めないようにしてるんだよ」
はあちゅう「逆に私は、ひとりで悩みまくってから相談する。嫌なニュースにふれたときも一回、自分の中で吸収する時間が必要。そのあいだは暗いオーラを放ってる。私が悩んでることに、けんちゃんが気づかなくて、私が家出したことがあったよね」
しみけん「エアコンクリーニングね(笑)」
はあちゅう「そう! 息子の世話で忙しいなかで、私が全部手配して、当日業者さんが来てインターホンが鳴った」
しみけん「それを取ったはあちゅうが、トラックを駐める場所やフロント受付についての説明が不十分なまま、インターホンを切ろうとしたから……」
はあちゅう「切ろうとしてないよ! 私がまだしゃべってる途中なのに、けんちゃんが横から入ってきて、説明しだしたんだよ。しかも『その説明じゃわかんないよ。僕の説明のほうがうまいだろ?』って……。愕然としたよ。ここまで私が全部やったことに対して、『ありがとう』もなく、最後の説明が下手というだけで怒るって、なんなの!? って。もう、すごいショックで……」
しみけん「で、近所のコーヒー屋に家出」
はあちゅう「そのとき、ほかにもいろいろ悩んでることがあったんだよ。だからけんちゃんに伝える言葉を考えるために、ひとりになろうと思って家出した」
しみけん「僕からすると、『家出するくらいなら、モヤモヤをその都度周囲に伝えていけばいいのに』って思うんだよなぁ」
はあちゅう「タイプが違う、としか言いようがないよ。とにかく、けんちゃんは私がやってあげたことが見えてない。エアコンクリーニングの手配もそうだし、今までさんざん話してきた家事分担の話もそう。いちいち『私、やったよ』って言わないと、わかってくれないじゃない」
しみけん「薄々わかっていても、言われたほうが全部に感謝できるか」
はあちゅう「でもね、言うことによって雰囲気が悪くなるのが怖いんだよ。恩着せがましくなるかなあ、とか」
しみけん「なんないでしょ(笑)。それに、溜めて爆発されるより、一回一回、恩着せがましいほうがずっといいんじゃない?」
はあちゅう「それにしたって、もうちょっと私がやってることを、当たり前と思わずに感謝してほしいんだよね。たとえば、私はけんちゃんに仕事の相談ってほとんどしないけど、けんちゃんは『このロゴどうしよう』『この台本読んでほしい』『この原稿直して』って、気軽にポンポン言ってくるよね? それが私の労働時間をけっこう奪ってること、認識してほしい」
しみけん「はあちゅうの仕事で、僕に相談できる仕事がないから。感謝に関しては、ラジオとかインタビューでは『尊敬してる』って言ってるよ」
はあちゅう「ラジオで尊敬されてもなあ……。そのラジオ、私、聴いてないし。たまにお金払ってくれることもあるけどね。家事代行代金を多めに払うとか、500円払うから肉焼いてって頼まれたりとか。でも、お金払うから文句言うなよじゃなくて、私の不満も聞いてほしいの」
しみけん「わかった。話は聞くよ。ただ、『ありがとう』の感謝よりも、お金のほうがわかりやすく反応するから、はあちゅう(笑)」
はあちゅう「それはプレイだよ……。お金取らないと私がやってることに気づかないでしょ? 払ってくれるだけ偉いけど」
しみけん「僕らの周囲の夫たちは、もっと気づいてない。△△さんも◯◯さんも、『一回もおしめ替えたことない』って誇らしげに語ってきた」
はあちゅう「それは奥さんが専業主婦の場合? それとも共働きで? そういう人の妻の憎悪が、回り回って私へのアンチになってるんじゃない?」
しみけん「それは違うだろ(笑)」
はあちゅう「こないだアンチの女性に、『夫が家に帰ってこないストレスを、はあちゅうさんにぶつけてます』って言われたのを思い出した」
しみけん「うーん……」
はあちゅう「けんちゃんも、SNSで誰かの不満を受け取っちゃうことあるでしょ?」
しみけん「僕は炎上してたとしても、まったく意に介さないから、炎上してないのと一緒」
はあちゅう「強いなあ。私なんて、一個でも嫌なことが書かれてると落ち込むのに。けんちゃんは、シュッてブロックして忘れちゃう。ポジティブ、やっぱり尊いよ(笑)」
【はあちゅう】
1986年、神奈川県生まれ 慶應大学在学中より、ブロガー活動を開始。2014年フリーに。近著に『わくわくする未来をつくるためのお守り言葉』『子供がずっと欲しかった』がある
【しみけん】
1979年、千葉県生まれ 1998年にAVデビューし、出演本数は約1万本の現役AV男優。近著に『AV男優しみけん仕事論0.01 極薄!』(扶桑社)がある
取材&構成・稲田豊史
(週刊FLASH 2020年9月15日号)