「朝ドラのように長い期間放送されるものの語りを務めるのは初めてです。演技ともナレーションとも違う独特の世界観なので、緩急をつけたり、コメディシーンでは自分から提案してツッコミなどを入れて遊ばせていただいたり、表現する面白さを感じています」
11月27日の最終回まで残り約4週間となった、NHK連続テレビ小説『エール』。本作で、耳に心地よい低音ボイスの語りを務めるのは『テニスの王子様』などで知られる人気声優の津田健次郎さん(49)。語りは登場する人物を見守り続けているいわば統括的立場。それぞれの役に想いが詰まっているそう。
「もちろん裕一と音は僕のなかで別格で大好きなんですけど、ほかにも藤堂先生とか。藤堂先生がいなかったら音楽人生が始まっていなかったですし、裕一の父の三郎さんが亡くなった回もぐっときました」(津田さん・以下同)
声優だけでなく俳優の一面も持つ津田さんだが「カメオでもいいから出られたらいいなぁ」と言っていたところ、10月27・28日放送回で、久志(山崎育三郎・34)と闇市で麻雀に興じる犬井役で顔出し出演。その夢がかなえられた。
「本当にやらせていただくことになり、びっくりしました。もともと舞台の仕事から声優になったみたいなところがあって、お芝居をすることもとても好きなんです。すさんだシーンではありましたけど、窪田(正孝・32)さんや(山崎)育三郎さんにお会いできてうれしかったです。ずっと見続けてきたのにお会いできていなかったので」
話は終戦直後の混乱期からやがて復興期へ移っていく。
「それぞれの苦しみがあったけれども、それぞれが復活していく。苦しめば苦しむほど、高く飛んだときの喜びは大きい。ラストへ向けて、そういう物語になっていくんじゃないかなと思います」
「女性自身」2020年11月17日号 掲載