■夢の中に現れた漣さんは脚本を読んでいた
同作は、大杉さんが亡くなった8カ月後となる’18年10月に撮影終了。大杉さんが完成を見届けることはかなわなかった。
「7年かけてやっと公開されるというときに、漣さんの奥さんからメールが来ました。そこにはお祝いの言葉とともに、『多くの方に見ていただけるように願っております』と書かれていて。漣さんと同じような優しい気遣いが感じられて、温かい気持ちになりました」
今年の初夢には、大杉さんが現れたという。坪川さんは最後に、こう明かしてくれた。
「夢の中で、漣さんは作品の追加撮影をしていました。新しく付け加えられたシナリオをずっと真剣に読んでくれていてね……。
僕がいったん現場を離れることになったのですが、慌てて戻ると漣さんはまだ脚本を読んでいるんです。僕に気づくと、漣さんは『坪川くん、ここのここはさ……』と質問してくれて。漣さんは、永遠に役者なのかもしれません。
僕もいつか漣さんのもとに行くと思います。そのときは、幻となったエピローグを撮影したい。そして天国で、完成版の上映会を漣さんと一緒にやりたいですね」
7年の月日を経て公開された“最後の映画”。大杉さんも天国で喜んでいることだろう。
「女性自身」2021年3月16日号 掲載