■「柘植の激励シーンに、現場で泣きそうに…」
――実際に関わってみて、赤楚さんと町田さんの意外な面、イメージと違ったところはありましたか?
「赤楚さんは天然と聞いていたので、ふわふわした方なのかなと思っていたのですが、とても実直な方でした。みんなが気づかないことに気がついたり、ふとした時の視野が広い人でした。何事にも構えないフラットさ、しなやかさは人としても役者さんとしてもすごいなと思いましたし、かっこよかったです。
町田さんは、勝手にクールなイメージがあったのですが、気さくな方でした。さりげなく、みんなを引っ張ってくれるお兄さん。芝居だけではなく、さまざまなことに対してアイディアをくださって、作品を届けることへ思いを持っている、愛のある方だと感じました」
――出演者もスタッフも同世代が多く、かなり綿密にディスカッションをしながら撮影を進めたと伺いました。どのようなシーンでどんな話し合いがあったのか、本間さんが印象的だったことを教えてください。
「第6話のタコパのシーンで、実際に演じてみたら安達の心情的に少し難しいモノローグの箇所がありました。赤楚さん、町田さん、草川さん、林監督含め、どういう流れになったら源泉となる安達も、それを向けられる黒沢も違和感がないのか話して、現場で少し流れを変えました。些細なことでもディスカッションする真摯さに、みんながみんな“これは自分の作品だ”って考えているような温かさを感じて、印象に残っています」
――赤楚さんと町田さん以外にも、魅力的なキャストが多数出演しています。柘植(浅香航大さん)、湊(ゆうたろうさん)、六角(草川拓弥さん)、藤崎さん(佐藤玲さん)について、それぞれ撮影時の演技はいかがでしたか。
「浅香さんは、想像を遥かに超えた新しい顔を見せていただき、すごく新鮮で面白かったし感動しました。柘植の台詞や行動は真っすぐだからこそ、生身の人間に変換したときに上滑りしたものになるか響くものになるか紙一重の所がありました。そこで、浅香さんが演じると説得力と響きが生まれる。第8話、湊を激励するシーンは現場で見ていて泣きそうになりましたし、走り方も柘植らしさ全開ですがそれ以外の何気ない部屋での動き一つとっても、ものすごく“柘植“の感じが出ていて、スタッフみんなで『すごい!』と沸きました。
ゆうたろうさんは、ツンデレな湊に小悪魔感を与えてくれました。湊の“ツン”の塩梅を監督と試行錯誤する際も、直向きに向き合ってくださっていました。Blu-rayには特別編集版として湊のダンスのフルバージョンを入れてあるので、ぜひ見ていただきたいです。
草川さんは愛嬌のある後輩ポジションが元々似合う印象がありますが、ふとした時に見せる表情にそれだけじゃないものを感じさせる魅力がありました。六角の中に点在しているギャップをとても自然に、一人の人間のものとして紡いでくださいました。
佐藤さんは『藤崎さんが実際に自分の身近で息づいているんじゃないか』と感じさせる魅力と存在感がありました。カメラの向こうとの境界線をなくせてしまえる人。些細なカット、表情、目線、佇まい一つ一つがどれも“そこに根付く人”そのものでした」