学級文庫に数冊紛れ込んでは、忽然と姿を消すことも多かった『恐怖の心霊写真集』(二見書房) 画像を見る

住んでいた場所は違っても、年齢が近ければ「そうそう! わかる」って盛り上がれるのが、青春時代、恐怖に震えた心霊写真や怪奇現象の話。各界で活躍する同世代の女性と一緒に、’80年代を振り返ってみましょうーー。

 

「運動は苦手でインドア派だったので、家ではよくテレビや雑誌を見ていました。心霊特集や怪奇現象特集にくぎ付けになっていて、いまでも好きで信じています」

 

小・中学生時代を送った’80年代を振り返るのは、コラムニストで漫画家の辛酸なめ子さん(46)。

 

たしかに’80年代は、テレビでも雑誌でも心霊特集が組まれていたし、とくに暑い夏の風物詩でもあった。なかでも辛酸さんが好きだったのは『お昼のワイドショー』(’68〜’87年・日本テレビ系)で、夏季に放送されていたワンコーナー「あなたの知らない世界」だ。

 

視聴者から寄せられた心霊体験や写真を、心霊研究科で放送作家の新倉イワオさんが解説、分析する構成だった。

 

「再現ドラマ仕立てになっていたので、リアリティがありました。いまでも覚えているのは、亡くなられた出演者の霊を呼ぶ回。私には見えませんでしたが、専門家によると“来ていた”みたいで。番組の放送は昼間なので、興味津々で見るんですが、夜、お風呂に入ってシャンプーをしているときに人の気配を感じたりして、怖くなるんですね」

 

辛酸なめ子「怪奇体験きっかけにオカルトにハマった子供時代」
画像を見る 辛酸なめ子さんの中学生当時の家族写真「父は”念写”にハマるように」

 

こうしたジャンルに興味を持っていたのは、辛酸さん自身が心霊体験をしていたからだとか。

 

「引っ越しが多かったのですが、越した先の家でいちいち怪奇現象に見舞われるんです。埼玉県の薄暗い一軒家に住んでいたときは、突然、玉を転がすようなラップ音が聞こえてきて……。遊びに来ていた友達が怖くなって、帰ってしまったこともありました。別の家では、夜、目を覚ますと色とりどりの人魂が飛んでいたことも。“これは見なかったことにしよう”って、目をギュッとつむってやり過ごしました。前に住んでいた人が、その家で亡くなられたらしいとか、家の近くの稲荷神社で誰かが自殺したとかいう噂を聞いては、“ああ、やっぱりなあ”と納得していました」

 

いまでも忘れられないのが、家族で箱根旅行に行ったときの記念写真。

 

「半透明の生首が写っていたんですよ。そんなことがあったからかわかりませんが、父が念写をする団体に所属するようになって。『月の裏側を念写してきた!』と、私に報告してきたりしました」

 

科学では解明できない怪奇現象とともに、女子なら誰でも通るおまじないも好きだった。

 

「小学校のときは、雑誌に付いてくるおまじないの冊子を見て、自分でも試してみたりしました。何色のペンで願い事を書くとかなうとか、相手の影を踏むとどうなるとか。好きだった男の子と隣の席になりたくて、ある図形の中にその子の名前を書いたり。すると本当に、隣とか、斜め前とか、近い場所になることが続いたんです。私と席が離れるときに、その男の子が残念がっていたので、おなじないの効果は、本当にあったんだと思います」

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