■ライブは口パクで盛り上がった
マイケルの来日ツアーのチケットを入手してもらったのは、その後、しばらくたってから。
「1曲も知らないんじゃ盛り上がれないと思って、予習のつもりでレコードを聴いたら、あまりに声が高くて、『マイケルっていうから男性だと思ったけど、女性だったんだ』と勘違い。ただ曲は大好きで、すぐにめちゃくちゃハマって、アルバムを全部、ジャクソン5までさかのぼって聴き込みました」
来日コンサートではメドレーでジャクソン5の曲も披露された。西村さんは英語がわからないながらも盛り上がりたくて、適当に口をパクパクさせていたという。
「そうしたらカメラクルーが私の隣にきて、すごいアップで撮り始めたんです。でも、私の口の動きがあまりにも歌と合っていないものだから、カメラマンが笑ってしまい、肩にのせたカメラが揺れていました。けっきょく映像はどこにも使われていませんでしたね」
こうして火が付いたマイケル熱は、以降、ますます高まり続ける。写真集の撮影でハリウッドに行った際には、現地でのコンサートはもちろん、マイケルの家にも足を運んだ。
「テレビ番組の“あの人はいま”企画で、’80年代に日本でもブームになったエマニエル坊やさんを取材したことがあって、彼が来日したとき、六本木のマハラジャのVIPルームに招待されたんです。『今からマイケルも呼ぶから』と言われて、ツーショットの写真を見たことがあったし、プライベートでも仲がよさそうだったから、“本当に会えるかも!”って大興奮だったのですが……」
このときマイケルは、お忍びで家族と来日していたという。
「しばらく待って、来たのはお付きの人だけ。マイケルは『疲れたからホテルに帰る』ということでした(泣)」
’80年代から追いかけ続けたマイケルだが、ついに対面することはかなわなかった。
「だからこそ、現役時代のマイケルが私の中で生き続けていると、いまでは思っています」