「歌や踊りには希望を与える役目がある」と語る宮本亞門さん 画像を見る

今年6月、父を天国へ見送った宮本亞門さん。ときに衝突しながらも、折に触れて人生との向き合い方を教えてくれたのが父だった。希代の演出家の心にいまも宿るメッセージとはーー。

 

「人生を一つの“舞台”だとするならば、『親父の役の人生を見事に演じきったね!』とたたえてあげたい。僕にとって彼は誇りです」

 

そう語るのは、演出家の宮本亞門さん(63)。今年6月24日に、94歳の父・亮祐さんを天国へと見送った。遺言のとおり、葬儀は身内だけで行ったというーー。

 

亞門さんは、’87年に演出家デビュー。

 

’04年にブロードウエーで演出を手がけた『太平洋序曲』がトニー賞にノミネートされるなど、演出家として国内外で活躍の場を広げていった。

 

時はたち、亞門さんは自らの生命の危機に直面することになる。

 

’19年、テレビ番組の企画で、亞門さんの前立腺がんが判明したのだ。

 

「帰宅した夜は、恐怖と不安で眠れず、ブラックホールに吸い込まれるような孤独を味わいました。幸いがんはステージ3の最初で、全摘をすれば回復するとのことでした。早期発見がどれだけ大事かを痛感しました。『神様は、なぜこの体験を与えてくれたんだろう?』と思ったとき、僕は自分が感じたことを発信し、創作をやり続けるためだと思えました」

 

がんを克服後、亞門さんのTwitterにこんな投稿が。

 

《令和元年九月八日。これからの人生を最大限謳歌するため、亜の旧字体を使い「亞門」とすることにしました。 日本、欧米、問わず、亞細亞(あじあ)にも進出し、お互いの許しと調和を信念に、自分なりのクリエーションを存分に広げていきます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。亞門》

 

「“生きる喜び”を再認識させてくれたという意味において、がんは僕にとって命の勲章なんです」

 

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