■車の中が、自由になれる場所だった
“乗りもの命”になったのも、自分らしく自由でありたかったからかもしれない。
「実家は最寄り駅までバスに乗らなければ行けない場所にあったのですが、原付免許を取ってからは、スクーターで自由にどこにでも行けるようになって。うれしかったですね」
自立したいという思いから、高校時代はアルバイトに励んだ。
「ガソリンスタンドで働く女子高生って、そのころは珍しかったんじゃないですか。店長さんも驚いたと思うのですが、面接に母までついてきたことで、信頼してもらえたみたいです」
誕生日から逆算して高3になってすぐ教習所に通いだし、18歳になると同時に普通自動車免許を取得した。
「誕生日のプレゼントに、母が20万円の中古車を買ってくれたんです。スカイラインに憧れていたんですが、さすがに無理なので、最初の車は“小さなスカイライン”といわれた、日産のラングレーでした」
家では個室がなかったぶん、車の中が自分だけの場所となった。
「ずっといじめられていた自分が、すごく自由で楽になれるのが車でした。ドライブ中、風の音や波の音を聞くのも大好きですが、車は音楽を聴くにも最高の空間です」
海まで車を走らせながら、サザンオールスターズに杉山清貴、そしてユーミンのアルバムを録音したカセットテープをかけた。
「いちばん心に残っているのは、やっぱり『NO SIDE』(’84年)。今でもカラオケで歌うは、このころの曲が中心です」