住んでいた場所は違っても、年齢が近ければ「そうそう! わかる」って盛り上がれるのが、青春時代からあこがれている歌手の話。各界で活躍する同世代の女性と一緒に、“あのころ”を振り返ってみましょう——。
「私にとっての歌姫は、岩崎宏美さん。『スター誕生!』から応援していたし、デビューのときも“この人は、絶対にすごい歌手になる”って確信していました。『ロマンス』(’75年)や『思秋期』(’77年)も好きですが、いちばんは『すみれ色の涙』(’81年)。ほぼアカペラのような難しい曲で、宏美さんでなければ歌いこなせません」
こう語るのは、歌手で女優のつちやかおりさん(57)。物心ついたころから歌うことが大好きで、祖母の前で編み棒をマイク代わりに「いちばん、つちやかおり、○○○○を歌います」と披露していた。
「毎週、日曜の朝に放送される、ロイ・ジェームスさんが司会のラジオ番組『不二家歌謡ベストテン』(’66〜’87年・ニッポン放送)は欠かさず聞いて、いつも録音していました」
芸能界入りしたきっかけは、中2のとき、劇団いろはに入団したことだった。
「小学校時代から習っていたピアノの先生が亡くなって“何か、他にできることがないかな”と思っていたときに、新聞に劇団の募集チラシが折り込まれていたんです。週1回、歌やお芝居の勉強ができるのがうれしくて、すぐに入団しました」