■3年B組出演者はみんな演技が下手だった
それから間もなく、『3年B組金八先生』(’79〜’11年・TBS系)のオーディションに参加することになった。
「劇団では発声練習や早口言葉のような基礎ばかりで、演技の勉強までは進んでいませんでした。でも、オーディションは番組スタッフと会って『ふだん、何をしているの?』『学校でどんな感じ?』とお話しするだけ。選考基準が演技力よりもキャラクターだったみたいで、第1シリーズは、みんなめちゃくちゃ演技が下手なんですよ。カメラ目線でセリフを言ってNG、寝ちゃってNG、ぼーっとしててNG(笑)。リハは赤坂でやっていたのですが、楽しいところじゃないですか。休憩中にゲームセンターで遊んだり、マクドナルドに食べに行ったりして、みんな時間どおりに帰ってこなくて」
そんな等身大の子どもたちの姿が反響を呼び、『金八先生』は高視聴率番組に。テレビ局の前には、トシちゃん(田原俊彦)やマッチ(近藤真彦)ら目当てのファンが押し寄せた。
「まだ“たのきん”と呼ばれる前でしたが、すごい人気で。マッチはキャーキャー言われるのがうれしくて、わざわざファンの前に出て、握手したりしていました」
『金八先生』が終了し、自身も中学を卒業すると、“クラスメイト”だったマッチ、よっちゃん(野村義男)、三原順子らと同じ、都内の私立高校へ進学した。たのきん人気全盛期、教室が見える学校前の歩道橋は、黒山の人だかりだった。
「『たのきん全力投球!』(’80〜’83年・TBS系)で、たのきんの妹役として出演していたこともあって、教室でも“ちょっと、ここ空いてる?”って、気軽にマッチの隣に座ってしまうんですね。すると帰り道に『なに、あのチビ』と言われたり、唾を吐かれたり。鉄パイプを持っているファンまでいました」