ドラマで活躍するいっぽう、クイズ番組で幅広い知識をみせたり、“還暦越えビキニ”で世間を驚かせたり。あふれるバイタリティの源泉には、今だからこそ大切にしているモットーがあった――。
「34年ぶりだった歌の録音は、自分の声が聞こえないほど緊張しました。今度、NHK『うたコン』の生放送で、みなさんの前で歌うのですが、もうドキドキ（笑）」
にこやかな笑顔がはじけるのは、女優で歌手の宮崎美子さん（62）だ。今年は歌手デビュー40周年。9月には過去の楽曲をデジタル・リマスター音源で収録した記念アルバム『スティル・メロウ ～40thアニバーサリー・アーカイブス』をリリース。デビューアルバムには、八神純子、松任谷由実、坂本龍一、吉田拓郎らが楽曲を提供していた。
「そうそうたるメンバーが携わってくださった曲が忘れ去られてしまうのは申し訳ない気がしていたんです。なのでCDを出せたのはとてもうれしくて」
34年ぶりの新曲『ビオラ』は、自ら作詞を手がけた。
「プロデューサーから、『ビオラ』というお題を与えられたんです。ビオラって、あまり目立たない、ちょっと地味だけれど、改めて見ると素敵だな、というイメージで。そこから膨らませて、控えめだけど、程よい距離間で寄り添ってくれる存在、そんな“さりげなさ”を歌う一曲になりました」
YouTube宮崎美子ちゃんねる「よしよし。」では、ボルダリングに挑戦したり、大好きな漫画『鬼滅の刃』のコスプレを披露したり、“やりたいこと”を思い切り楽しんでいる。
「最近では、大谷翔平選手のカッコいい姿に心を動かされ、『私も二刀流やりたい！』となって（笑）」
40年以上前の、熊本大学在学中のジャージを着て、投球練習やバッティングに挑んだ。それにしても、学生時代のジャージがはけるというのも驚き！ スタイル維持のためにはどんなことを？
「家でラジオ体操をやっています。あとスクワット。ジムに通ったこともありますが、結局続かなくて。自宅でできるくらいのことのほうが、私にはちょうどいいみたい」
食事では、野菜と鶏肉を中心に、食物繊維と、タンパク質をきちんと取るよう心がけているそうだ。それでは、クイズ番組で見せる脳の若さはどう保っているのか？
「本を読んだりもしていますが、やっぱりクイズ番組に出演することが最高の脳トレみたいです。でも、早押しの反応速度が遅くなっているのは感じていますよ（笑）」
今がいちばん楽しいと語る宮崎さんだが、60代だからこそやるべきと考えていることもあるという。
「“終活”に向けて、やはり荷物の整理は必要な作業。油断すると、モノはついつい増えていくから、定期的に見直しておこう、と思っています」
半年に一度、モノを見直すことをルールにしている。
「私たち世代は、実家の荷物の整理も切実ですよね。私も、母が実家から引っ越すときに荷物整理をしましたが、モノが多すぎて大変で。大学時代のジャージが出てきたのはうれしかったですけど（笑）」
もう一つ、宮崎さんは「誰も人生の最後は独り」という覚悟を持つことも大切だと話す。
「その覚悟ができると、女性も強くなれるんじゃないかな。今やりたいことをやろうという気持ちにもつながると思うんです。いくら家族でも、ずっと一緒にいれば、それはそれで大変ですよね」
歌手デビューから節目の年を過ぎ、これからの目標は－－。
「女優としては、“縁側にちょこんと座っているおばあちゃん”を演じたい。それから、コンサートを開いて歌ってみたい。心が動いたらチャンス、ですから！」
これからも、自然体の笑顔で活躍の場を広げていきそうだ。
