「『大河ドラマに出ていただけますか』とオファーをもらったときは、壮大なドッキリなんじゃないかと思ってしまいました(笑)」
そう笑顔を見せるのは、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で、小栗旬(39)演じる主人公・北条義時の妹・実衣(みい)役の宮澤エマ(33)。
きょうだいにかまってもらえない末っ子の実衣は、いつも一人で皮肉っぽいことを言っているが、どこか憎めないキャラクターだ。
今年1月に放送が始まって以来、大河ドラマの反響の大きさに驚きを隠せなかったという。
「バラエティ番組『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)に出演したとき、『ゆず』のお2人が『いつも大河見てます』と声をかけてくださったんです。まさか自分のことを知ってもらえているなんて思ってもいなかったので本当にびっくりしました」
■西田敏行、鈴木京香との驚きの出会いとは
ドラマデビューしてまだ3年弱の宮澤にとって、初めての大河ドラマの現場は緊張することばかり。
そんな彼女が、後白河法皇を演じる西田敏行(74)と丹後局役の鈴木京香(53)と初めて顔を合わせたときのこと。
「それまで共演シーンがなかった西田さんと京香さんが口をそろえて『あっ、本物(の実衣)だ~!』とおっしゃって(笑)。『それは私のセリフ!』って心から思いました。どこを見ても、スターばかりの世界にいることがいまだに信じられません」
周りの反応は好評だが、じつは実衣を演じるにあたっての葛藤があったという。
「最初は実衣のキャラクターが、なかなかつかめませんでした。物語初期の実衣は子ども時代。33歳の自分が幼い女の子を演じるギャップにも戸惑いましたね。しかもセリフは一言だけのものが多くて……」
そんなとき、脚本家の三谷幸喜(60)からこんなアドバイスが。
「『実衣は、家族の大事な話に入れない末っ子感がある。そのぶん探求心が強く、盗み聞きをしたりして、自分で情報を集めようとする。少し背伸びしているような女の子なんじゃないかな』って。『イメージとしてはムーミンのリトルミイ、グリーンダ・カ・ラのCMに出ている、子どものムギちゃん』とも言われました(笑)」
セリフについては、「初期の実衣は子役が演じる可能性があったから短いんだよ」と冗談交じりに言われたそう。
「でも、三谷さんの言葉をもらってからは、実衣のキャラクターがだんだんつかめてきました。“少し謎めいているけど、芯はある子なんだろうな”と思ってもらえたらうれしいです」
本人はまだまだ緊張することもある撮影現場だが、ふだんは、和気あいあいとしているという。
そんな雰囲気をつくっているのが座長の小栗旬だ。
「とても気遣いがあって、誰かが困っているとさりげなく助け舟を出してくれる、本当に器の大きな人なんです。私が言葉のイントネーションを忘れてしまったときも、小栗さんがサッとスタッフを呼んでくださって『ここのイントネーションは?』と私のセリフを確認してくれて。寒い日の撮影に重宝するニット帽とカンパニーウエアを全員分作ったり、スタジオにコーヒーマシンを差し入れたりと、長期間の撮影でも楽しくなるようなイベントを作ってくれています」
兄・義時(小栗旬)の座長ぶりが、妹・実衣の好演に繋がっているようだーー。