桑田靖子語るデビュー当時の葛藤…『全員集合』の“性的”演出に出演ボイコット
画像を見る 『カックラキン大放送!!』でのひとコマ

 

積極的にバラエティ番組にも出演して、歌以外の仕事をしなくては生き残れない。

 

「『8時だョ!全員集合』(’69~’85年・TBS系)では、前半のコントが終わり、セットチェンジがされているなか、マイクのコードを持ったスタッフと一緒に歌手が出てきて歌うのですが、子どものころから見ていたそのシーンを、実際に体験したときは感激しました。(笑福亭)鶴瓶さん司会の『歌謡びんびんハウス』(’86~’94年・テレビ朝日系)は、歌中心だけど、ゲーム対決があって、賞品が貴金属や海外旅行と豪華。韓国旅行やバリ旅行がもらえて、家族を行かせてあげたこともありました。10段飾りのひな人形なんて2セットも持っていたんですよ。みんな商品欲しさに、すごい真剣になっていました」

 

そんな懐かしい思い出もあるが、心の中には“やっぱり歌いたい”という葛藤も。

 

「じつは『全員集合』の特番で、楽屋から出ず、出演ボイコットをしたこともあるんです。体操のコーナーで男性とペアになり、それぞれの股の間に頭を入れて、くるくると前転するように言われたのですが、見ている人にエッチな想像をさせるようで、どうしても受け入れられなくて……。楽屋が一緒だった1年先輩の松居直美ちゃんから、『本当にいいの? 私たちはまだ仕事を選べないよ』って説得されたんですが」

 

しかし、いま振り返ってみると、すべて勉強であったと同時に、たくさんの人に支えられていたことに気付かされるという。

 

「テレビの撮影現場では同期のアイドルと楽屋で一緒になることが多く、お互いに励まし合っていました。デビュー前のチェッカーズともよく現場で一緒になったのですが、彼らは同じ福岡県出身。九州弁で世間話をするだけで、故郷を離れた寂しさを忘れることができたんです」

 

社長宅に下宿していた事務所の後輩で、学校では同級生だった岡田有希子さんの存在も大きかった。

 

「ユッコはすごくおっとりさんな半面、しっかりしていて頭もよくて、よく勉強を教えてもらっていました。一緒の毛布にくるまって勉強しているうちに、2人して寝ちゃったこともあるんですよ」

 

“桑田靖子”という人間は、こうして多くの人によりつくられてきたと桑田さん。

 

「声が出なくなり、30代で歌手活動を一時やめたのですが、15年ほどのブランクの後、思い切って再びステージに立つ決心ができたのも、アイドル時代の知り合いが誘ってくれたから。さらに動画を配信すると、今度はアイドル時代のファンが応援してくれて。当時の仲間たちやファンに支えられているって、いま実感しています。バラエティ番組ではいろいろ試されたし、失敗やつらい経験もしたけど、それがいまの私の土台になっているのだとも思えるんです」

 

そして来年、歌手デビュー40周年を迎える――。

 

【PROFILE】

桑田靖子

’67年、福岡県生まれ。’83年『脱・プラトニック』で歌手としてデビューし、シングル11枚、アルバム6枚を発表。『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(’85~’96年・日本テレビ系)などバラエティ番組でも活躍する。’10年に歌手活動を再開し、現在、配信番組『桑田の音楽野望』を毎月1回配信中

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