■応募したオーディションを勝ち抜き、見事ヒロインに
吉田栄作のブロマイドを買いに行ったことで、偶然にも女優への道が切り開かれた。
「何回もオーディションを受けて、その全部に落選。案外、負けず嫌いだったので、『Olive』(マガジンハウス)のファッションをマネしたり、鏡の前でポーズや表情を作る練習をして、反省点を一つ一つ克服していきました」
’90年、麦芽飲料「ミロ」のポスターでデビューを果たしたとき、吉田栄作はトレンディドラマで主役を務めるまでにブレークしていた。
「仙道敦子さんと共演した『クリスマス・イヴ』(’90年・TBS系)が毎回、楽しみで……。本当は好き同士なのにすれ違ったり、仲直りしたり。2人の恋の行方が気になるし、“仙道さんになりたい”って思いながら、ドラマを見ていました」
彼女自身の芸能活動は、’92年に抜てきされた「サントリー南アルプスの天然水」のCMが大きな転機となったという。
「15秒、30秒という限られた時間でしたが、きちんとストーリー性がある作品。“もっともっと表現してみたい”という思いが強くなり、女優を目指すきっかけに」
そんな高校時代、話題となったドラマが、真田広之と桜井幸子が共演した『高校教師』(’93年・TBS系)。
「先生と生徒の恋愛というタブーをセンセーショナルに描いていたので、放送のあった次の日は『昨日、見た?』と必ず話題に。クラスにいつもスポーツ新聞を読んでいる男子がいたのですが、ある日の記事で映画版『高校教師』(’93年)の出演者を一般募集していることを知ったんです」
350人が応募したオーディションを勝ち抜き、見事にヒロイン・柏木繭役を射止めた。
「『繭だったら何を思って、どう考えるのか』を想像して、役になりきる訓練をしました」
台本を読み込んだうえで、裸でプールに飛び込むシーンも吹き替えなしで演じると直訴。
「恥ずかしいという思いもありましたが、なくちゃならない、絶対に必要なシーンだったので抵抗はありませんでした」
女優としては新人だったため、思うように演技ができず撮影を止めてしまうことも。
「大事なシーンのリハーサルには共演の唐沢寿明さんにお付き合いいただきました。気持ちを作れず、上手に泣けなくて苦しんでいたとき、唐沢さんが近くにやってきて耳元で『悔しいだろう』と。その一言がスイッチになって内側の感情が湧きだし、やっとOKが。私も大事な場面で、共演者の力を引き出す一言が言える役者になりたいと思いました」
着実に女優としてキャリアを積み上げた遠山さんは、多くの作品に出演したが、いまだに吉田栄作との共演はないという。
「デビューしたてのころに共演していたら平常心を保てなかったかも(笑)。でも、今、共演できるチャンスがあればーー。そんな素敵なことはありません」
【PROFILE】
遠山景織子
’75年、東京都生まれ。オーディションで選ばれた映画版『高校教師』の演技で、主要な新人賞を総なめにする一方、『笑う犬の生活』などのバラエティ番組でも活躍。ナチュラルフード・コーディネーターの資格を持ち、お弁当関連の著作もあるほどの料理上手でもある