「大阪に来ると人の柔らかさにほっとしましたね。向うからも気軽にしゃべりかけてくれてね。だから東京に帰るとすごく寂しくなりましたね。ネタばれになってしまいますから多くは語れないのですが、もっと大阪での撮影に参加したいというプレゼンを常にしています(笑)」
そう語るのは、連続テレビ小説『舞いあがれ!』で航空学校を卒業したヒロイン・岩倉舞(福原遥)の父親・浩太役を演じる高橋克典(58)だ。浩太は東大阪の町工場を経営する二代目社長。かつては重工メーカーに勤めて飛行機を製作する夢を抱くも、父の死で退職し、ネジを作る工場を継ぐ。
本誌は高橋の朝ドラ収録現場に密着。真剣な打ち合せを終えると、福原を和ませるように笑顔で話しかける高橋の2人は、実の親子のように見えた。福原とは『正直不動産』(NHK)以来、2度目の共演となる。
「遥ちゃんは芝居もうまいし、人柄も本当にいい子ですね。実は知り合いから聞いていたのですが、普通の人なら文句を言っておかしくない場面でも、文句を言わない人だと。
実際に現場でお会いすると、遥ちゃんは自然体なんですよね。気を遣ってこっちにしゃべってくるわけではなく、親戚の子が人懐っこく話しかけてくる感じなんです」
今回の浩太役にあたり、当初、坊主頭を考えていたという。
「東大阪のネジ工場の社長だから、いまのこのサラサラな髪型ではなく、坊主というか、もっと短くてクシャクシャっとした髪型に本当はしたかったんですね。でも、『正直不動産』の撮影と重なってしまい、髪の毛を切れなかったんです。だからあまりモニターで髪型をチェックしないようにしていました(笑)」
初の朝ドラ出演で理解ある父親役を熱演している高橋だが、“朝ドラ効果”でCMオファーも相次いでいるという。多種多様な役柄に挑戦してきた彼に、今後の夢を聞くとーー。
「今はお芝居もですが、MCをやらされていただいたり、コンサートの司会をやらせていただいたりしています。それぞれ素敵な魅力ある仕事ですし、やっていることを少しでも進歩できればいいなと。ただ、もうすぐ60代なので、年齢で区切ることでもないけれども、芝居の世界も過渡期だと思うので、いつかは田舎に住むかもしれないですね。10年後、15年後になるかもしれませんが……」
浩太の妻・めぐみ(永作博美)の実家は五島列島。高橋もロケで現地に赴き、ブログで《たまらん。外国行かなくていい。サイコーだわ。》と絶賛している。
「隠居するなら田舎がいいなと。自然の中で暮らしたいなというのはありますね。もっとジジイになって自分で動けなくなったら、どこか施設に入らなきゃならないかもですが、それもこれから気持ちいい自然を感じる場所にもいっぱいできるかもしれないし、気持ちよく生きていけたらいいなと。
僕はいま、日本に住む外国人に話しを聞く番組(『ワタシが日本に住む理由』BSテレ東)をやらせていただいているんですが、そういう田舎暮らしをする生き方を選ぶ人が多いんですよ。あれがすごい気持ちよさそうで。外国人の方ってそういうのが得意なんでしょうね。将来、そんな暮らしができたらいいなあ、と思っています」