■「何であんな風に言っちゃうんだろう」想像力を膨らませた役作り
いっぽう、嬉しい反響の陰には役作りにおける努力があった。
「実は他の登場人物と比べて、山田のキャラクター設定は少ないんです。嫌味を言ってしまう背景や、日頃どんな生活を送っているかといったことは決まってないので、そこを自分のなかで想像を膨らませてトライしました。
かといって、変な要素を入れると物語がおかしくなってしまうので、さじ加減が難しくもありました。演出の方などに『こういう設定で』とは特に求められなかったので、『何でこんなことを言ってしまうのか』や『どんな風にこの会社に入ったのか』など、セリフ以外の部分を埋める作業にこだわりました」
そして、山田の性格を理解するために、バックボーンに目を向けたという。
「『何であんな風に言っちゃうんだろう』と疑問を抱いた時に、舞ちゃんや人に対して、自分と比べてしまう部分があるんだろうなと思いました。さらに深く考えて『この流れなら頷ける』と思ったのが、舞ちゃんとの環境の違いでした。舞ちゃんは夢を追いかけて大学に進学し、パイロットの勉強もして。いっぽう、山田は高校を卒業して『IWAKURA』に就職して……という風に。こうしたベースは想像力を膨らませてかなり考えました。
また、母親に意見を聞いたり、高卒で就職した友人に『大卒の人に対して何か思ったこととかある?』と質問したりもしましたね。とても参考になりましたし、話を聞いてから構築していったら、すごく面白いキャラクターになりました。人って他人と比べたり、疎ましく思う感情とかあると思うので、ただただ嫌味を言う人ではなく、“言わずにはいられない人”の感じを意識しました」