インターネットを通じて情報流出事件の数々を起こしたファイル共有ソフト「Winny」。同ソフトの開発者である金子勇氏をモデルとした映画『Winny』(3月10日公開)で、東出昌大(35)が主演を務める。
本作では7年間の裁判の行方が描かれているが、30代のほとんどを逆境下で過ごした金子氏を演じた思いを東出にインタビューした。まずは、裁判にあたって金子氏を支え続けた壇俊光弁護士について語った。
「壇先生は豪快な方なんです。この作品は先生の協力なしには語れません。暑い体育館で撮影していたときには、わざわざスポットクーラーを業者から借りて、ハイエースを運転して持ってきてくれたんですよ。
壇先生を演じる三浦(貴大)さんと3人で飲んでいるときに、壇先生が『もし明日、地球最後の日だったら、壇俊光は何を食べると思う?』と聞いてきたことがありました。三浦さんが『うーん、お寿司?』と言ったら、壇先生は『壇俊光は最後まで戦う男だから、メシを食っている暇はない』って。
えー、面倒臭い! なんて言いながら、僕らは大盛り上がりでした。そんなアツい方と何度もお会いして話す中で、作品の世界に入り込むことができたんです」
近年、自身も“騒動”の渦中にあった東出だが、壇弁護士が金子氏をサポートしたように、多くの仲間に支えられているという。
「幼少期からの友人や家族、仕事の関係者、そして、今も変わらず接してくれる役者の先輩や後輩がたくさんいます。“お前のことはわかってる”と言ってくれる人たちが周りに残っています」
プライベートについては話せないこともあるという東出だが、こうして週刊誌の取材を受け続ける理由について聞いた。
「役者として、生活を切り売りする必要は必ずしもないと思っています。家庭や個人的な交友関係について、あけすけに話すつもりはないんです。
僕も人間なのでプライベートがあり、その全てを見せるつもりはない。ただ、自分の生活が崩れない限りは、お話してもいいと思っている部分もあります」
昨年から、北関東の水道もガスも通っていない山奥で生活する東出。携帯電話は圏外だが、狩猟や菜園によって自給自足の生活を送っているうちに、地元の人たちとの交流が深まってきたと言う。
「僕は今の生活がとても気に入っています。山小屋に東京から友人が遊びに来ることもあるのですが、地元のおじちゃんやおばちゃんが喜んでくれるんです。それで僕の住んでいる田舎が元気になるんだったら、いいことなのかなって。
都会で働いてストレスフルでしんどくなっている同年代をたくさん見てきました。今後、過疎化が進む地方に若者が少しずつ移住したり、僕がきっかけで友人が田舎にやってくることは、素敵な現象のように感じています。だから、メディアで自分の生活をご紹介してもいいかなと思っているんですよね」
インタビュー時は寒波の予報も出ていたが、東出は「ヤバいっす」と笑いながら、山奥へと帰っていった。