奥田瑛二語る心がラクになった孫育て“じいじ、幸せでいいんだよ”
画像を見る 『らんまん』劇中の舞台である高知県とは、観光特使を務めるほど縁があるという

 

■孫とじいじの高知大冒険!

 

’15年に、奥田さんの初孫となる桃子さんの娘が誕生した。’17年には次女・安藤サクラさんにも娘が誕生し、2人の“じいじ”に。

 

「僕と(安藤)和津さんにとって、孫2人は人生最大のプレゼントです。僕は、両手に孫を抱えられるじいじでありたいので、和津さんに『体力、精神力を鍛え直すぞ』って言うと、『頑張ろうね』って。孫はいとこ同士だけど姉妹のような関係性。今は桃子の娘が8歳、サクラの娘が6歳になりました。孫がくると必ず『今日誰と寝る?』と聞くんです。『今日はじいじ。明日はばあば』って。2人の孫も大きくなって川の字で3人で寝ると、僕は端っこで身動きできないの。それをサクラが見ていて、3人でもゆったり眠れるクイーンサイズのマットレスをプレゼントしてくれました」

 

泊まりにきたときには奥田さんが孫をお風呂に入れてパジャマを着せ、髪の毛もドライヤーで乾かしている。運動会の徒競走の指導も、じいじの役目だ。

 

「僕が指導した年は1着。今年は指導に行けずに3着だった。ほんとうに、孫はかわいい。桃子とサクラの前で、『いや~孫がかわいい。君たちの10倍かわいい』と、つい言葉が出てしまって、『何言ってるの』って、真剣に怒られました(笑)」

 

コロナ禍の非常事態宣言が出たときには約70日間、高知で家族4人で過ごした。

 

「僕と和津さんと、桃子と孫とずっと毎日一緒。もう孫・孫・孫のかけがえのない時間でした(笑)。週末に『じいじと自転車ドライブしないか? 明日10時におにぎりとお水と卵焼きを持っていこう』『おやつは?』『内緒でコンビニで買おう』って話し合ってね」

 

和津さんがおにぎり4つをにぎり、卵焼きを焼いてくれた。

 

「2人でリュックを背負って、桃子の電動自転車のうしろに孫を乗せて出発! 2つのトンネルを抜けて山を越えて車で30分もかかる海岸へ。誰もいない浜辺、カニがいる磯で遊んでね。孫と2人で海を見ながらおにぎりを食べて。帰りは行きと違う海沿いの道を通りました。じいじと孫の大冒険だよ」

 

孫と触れ合う中で奥田さんの中には、大きな変化が生まれていた。

 

「僕は、好きなことを仕事にして命をかけて生きているからこそ『幸せ』という言葉を封印し意識して言ってこなかった。でも、孫と生きていると、ある日『幸せだな~』ってポロッと出てしまったの(苦笑)。何か自分を縛っていた呪縛の縄が解かれて立ち消えて、すごく楽になったんです」

 

それは、夫婦関係の在り方にも変化を及ぼしたという。

 

「45年も夫婦をやっていると、ついつっけんどんになったり、口げんかになったりもあったけれど、それも減ってきたんです。孫で幸せを知って、なんだか優しくなっている。その理由をひもといてみたんです」

 

すると一つの発見があった。

 

「自分の心に、もっと『間』を持とうと思って。優しくなるための『間』とは何だ? それは、日本語の五十音の『ん』だと。それで何か聞かれたら、心の中で『ん、ん』と間をとるようにしたんです。最初は、『ん』のたびにうなずいてました。こうして心に『ん』の間を入れると、心が柔らかくなり、まったく夫婦げんかにならなくなった。孫ができたおかげです」

 

そしてこの、心の「ん」は、『らんまん』の演技にも生かされた。

 

「カミさんのイチ役の鶴田真由さんから『あんた、何言ってんだい』と言われても、『ん』を心でのみ込んで芝居しているんだよ(笑)。江戸っ子で言葉は荒いけど、心の温かさは『ん』で表現してね」

 

優しい空気が流れる高知で知った家族との幸せ。そんな高知で、監督として撮影した短編映画も公開に向けて進行中だ。恩返しは続いていくーー。

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