【前編】「よくここまで生きたな」GACKT語った50歳の死生観…家族には「沖縄の海に散骨して」から続く
「ボクの人生って、叩かれてばっかりでしょう(苦笑)。叩かれて強くなったっていうんじゃなく、叩かれても響かなくなった。どうでもいいことと認識できるようになっただけですよ。ボクへのバッシングに関しては、30代の後半ぐらいで『まあ記者も生活あるしな』とか『これで稼がなきゃいけない人もいるんだよな』なんて考えるようになりました。
この前、たまたまボクのことについて書き込みしているものを見たんです。そしたら質問と、その回答みたいなのが書いてあって。
《なぜGACKTはいい年でイケメンなのに結婚してないんですか。モテないんですか》
《金持ってても50になって結婚してなかったらそもそも負け組》
そういうふうにしかマウントとれない人もいるんですよ。多分この人は結婚しているんでしょう。でもボクはその書き込みを見て「こんなイケてる負け組、そりゃ恨まれるよな」と。いちいち腹を立てない、周りの虫の鳴き声に反応する必要もない。
若いころより、今は怒らなくなりました。もちろん世の中に対する怒り、人に対する怒りの感情は消えることはないですけど。ただ、それが感情と直結して相手に対する攻撃にはつながらなくなった。ミスってイライラするでしょう。ウワーってなっていたのが40歳になる前まで。40歳で、そうならないように心の中で固く決めたんですよ。『もう怒鳴らない』って」
■50代を迎えたGACKT。彼の心身状態を大きく変えたのは、約3年間交際した女性だった。
「きっかけは、そのとき付き合っていた芸能界の女性でした。彼女はボクの一目惚れでした。中身にさらに驚いて、こんなに楽しい人、こんなに素敵に笑う人がいるんだって思ったし、こんなに一緒にいて幸せって感じられるんだって。いつも彼女の発言に笑っていました。
ある日のことでした。そのコが感情的になって、ボクが『今は話すのはやめよう。冷静になってから話そう』と言っても彼女は収まらなかった。結局、その後、ボクもヒートアップして最終的に大声出して『だからオマエは!』と怒ってしまって。
途中でやめてカフェに行って、落ち着くまでお茶飲んで。どうしたもんかなと思ったときに、“ボクの人生で怒鳴るのはもうやめよう”と決めた。
やめようと決めて怒鳴らないようにしたら、相手に対する怒りも冷静な言葉で伝えられるようになって。仕事で相手が言い訳しても『つまり〇〇をやってないってことですね』と。
そのときも、彼女に伝えました。『もうボクは怒鳴るのをやめる。だからオマエが感情的になって喧嘩をしてきたときもボクは一切怒鳴らない。ただ、今はやめろ。落ち着いてから話そう。それでもオマエが収まらない状況が3回続いたら別れよう』と伝えたんです。
ボクは言い合うのが嫌いなんですよ。まだ殴り合うほうがいい。終わりがあるから。殴り合うのってある意味、言い合うのより終わりが見えます。お互い痛いし疲れるし。
でも口喧嘩って終わりがない。それこそ0.1ミリの刃先でお互いの皮膚を切り合っているような感覚。血はほとんど出ないけど傷が残る。後からその傷を見返すと記憶がよみがえる。傷が消えるのも結構、時間かかるし。しかも、かなりの傷をお互いつけ合う行為になるから、ボクの人生には必要ないと思うようになって」