「新作アニメは、舞台版には登場しなかった刀剣男士たちが何振りも出演するので、アニメならではの描写や演出を楽しんでいただけると思います」
そう語るのは、TVアニメ『刀剣乱舞 廻 -虚伝 燃ゆる本能寺-』(TOKYO MX、BS11)で、山姥切国広の声を務める前野智昭。今作が初めての『刀剣乱舞』という人も、キャラクターが背負うバックボーンに注目することで、作品に没入できるという。
「山姥切国広は、『山姥切』を模して造られたとされる日本刀。自分がオリジナルではないことにコンプレックスを抱いています。原案のオンラインゲームのサービス開始から9年、山姥切国広のいろいろな一面を知るにつれ、いとおしくて仕方ないです」
前野自身、そんな山姥切国広と共通する部分があるという。
「僕も、どちらかといえばこじらせ系なんですよ(笑)。自分に自信がなくて、外見も内面もコンプレックスだらけ。だからこそ、作品の中で自分とは違うキャラクターを演じたいと思い、仕事のモチベーションにつながっているところが多分にありますね」
さらに、役を演じているときは、役の気持ちが自分の体の中にあり、「自分ではない」とも。
「憑依といいますか、自分の体に誰かを降ろしているような感覚があって、僕は、その瞬間がすごく好きです。ふだんの自分だったら言わないようなセリフも、キャラクターの気持ちをきちんと理解していれば、真に迫った表現ができる。声優として大切なのは、“声を変えるのではなく、ハートを変えること”だと思います。気持ちが変わればおのずと声も変わったように聴こえて、そして、聴く人の心に届くのではないでしょうか」
声優を目指したのは、小学2年生のとき。夢をかなえ、人気声優の地位を確立するまでに成功した秘訣とは?
「下積み時代は、年収が3万円という時期もありました。何度もくじけそうになって、それでも続けてこられたのは、強い気持ちがあったからだと思います。声優という職業だけを夢見て生きてきた自分が声優になれないわけはない! という根拠のない自信がありました。今後の目標としては、子供のころから好きだった作品のメインキャラクターを演じたいという思いもありますし、大好きな野球の仕事など声優以外の分野にも挑戦したいです」
【INFORMATION】
TVアニメ『刀剣乱舞 廻 -虚伝 燃ゆる本能寺-』
毎週火曜23時~。TOKYO MX、BS11で全8話にて放送中のほか、各配信プラットフォームで配信中
(ヘアメーク:横手寿里、スタイリング:MASAYA/PLY)