変わった柄のパンダ「ガドゥ」。不思議なかわいさがあるキャラクターを生み出したムッシュー・タンがガドゥに込めた思いを語る。
「真っ白に生まれたガドゥは毎日自分の顔に模様を描いて、新しい自分になっています。『昨日何があっても今日はまた始まるから、ポジティブに生きよう』というメッセージを込めているのです。目の下の黒く垂れた部分は悲しい涙かもしれないし、描くときに楽しくてはしゃいで垂れてしまったのかもしれない。解釈は自由。答えは見る人の心の中にあります」
タン氏は’15年に初来日してから9度日本に来ている親日家だ。
「来日して驚いたのは、日本人が大人でも子どもの心を持っていることです。かわいいイラストやキャラクターがどこにでもあって、人々を癒しているように見えます。日本でなら、私が目指す『自分の漫画でたくさんの人の心を動かす』表現ができると考えました」
パンダが大好きなタン氏は、上野動物園を何度も訪れ、フランスの自宅にはパンダグッズのコレクションがぎっしりあるという。
「パンダは癒しをくれる存在です。世界共通で誰もがかわいいと感じる点も素敵だなと思います。ガドゥも年齢問わず日本の皆さんに熱狂的に愛されたらうれしいですね」
【ガドゥって?】
・生まれたときは真っ白
・顔の模様は自分で描いている
・口はなく、心で話す
・世界中の言葉が話せる
・パリが本拠地
・世界中で自分探しの旅をしている
・猫のスノウとぬいぐるみのカラモが相棒
【ガドゥの秘密1】作者Mr Tanは『毒舌アデル』の生みの親
小学生のころ、いじめにあって利き手の親指を骨折してしまったつらい過去を持つムッシュー・タン。14歳で描き始めた『毒舌アデル』は彼の分身のような作品で、「いじめをやめよう。もし自分がいじめを受けても『NO』と言えるようになってほしい」という子どもたちへの熱いメッセージが込められている。フランスでは累計1900万部を売り上げる大ヒットとなり、’25年にはアニメが公開予定だ。同作は世界各国でも出版され、世界中の子どもたちに愛されている。そんな読者の子どもたちの笑顔によって、タン氏自身の心の傷も癒され、新たに生み出されたのがガドゥだ。
【ガドゥの秘密2】母からもらったぬいぐるみがモチーフ!
5歳のころ、母親が病気になり、親元を離れ、遠くに住む親族の家で暮らすことになったムッシュー・タン。寂しさを紛らわせるために母に買ってもらったぬいぐるみがガドゥの原点だ。色とりどりのクマのぬいぐるみが並ぶお店の隅にポツンと置かれていた白黒のパンダに、自分の境遇を重ね合わせたのだという。怖い夜は一緒に寝て、悲しいことがあったら話を聞いてもらっていたそうだ。タン氏は自分にとって心の支えだったこのパンダが、ほかの子どもたちのことも支えてあげられたら……という思いでガドゥを描き始めた。
【ガドゥの秘密3】日本のテレビ番組で取り上げられて話題に
4月、『YOUは何しに日本へ?』(テレビ東京系)に出演した際、タン氏自ら原宿のキデイランドでガドゥグッズの販売交渉をする様子が放送された。交渉が見事成立し、期間限定で発売されると大変好評で、再販売も行われた。放送以降、日本で「ガドゥの著者さんですよね?」と声をかけられるようになったそうだ。5月の来日時には『5時に夢中!』(東京MX)にサプライズ出演。同番組のスタジオにはガドゥのぬいぐるみが飾られている。
グッズは現在、東京・上野のヤマシロヤ、静岡県の駿河屋本店、公式通販サイトで販売中。
【新連載】Épisode 0『ガドゥ誕生!』も配信開始!