■1日の祖父の口数はXの字数制限以下
――そこからは祖父母と伯母さんと暮らすことになりますが伯母さんはどんな方ですか?
すが:教育熱心な感じでした。僕に教材を買ってくれたり学習塾に通わせてくれたり。自分のことを犠牲にして、僕が賢くなるように、そういったことにお金を使ってくれて。それを僕が全部やらなかったんですよ。
――やってくださいよ!
すが:やればよかったですね。マジでもったいなかったです。
――おじいちゃんはどんな方でしたか?
すが:おじいちゃんは本当に寡黙な人で。1日で16文字ぐらいしかしゃべらないぐらい。
――「X」よりつぶやかないですね(笑)
すが:文字制限余裕です(笑)リビングにおじいちゃんが、ずっーと座っているイスがあるんですよ。足組んで座っててゆっくり瞬きをするんですけど。「ときどき、あれ?死んだ?」って時があるんです。
――おばあちゃんはどんな方ですか?
すが:めちゃくちゃケチでした。うんちは3回に分けて流さないといけないとか。だからおばあちゃんのトイレの後は残ってるんですよ。嫌じゃないですか。それで僕が「やめてくれ」って言ったら「やめてくれじゃないだろ!」って。
――やめて欲しいですけどね(笑)。
すが:宅配便の配達員がピンポンを鳴らすとおばあちゃんが家から出て来て「チャイムを鳴らすな!なんのための腕だ!トントンとやれ!」って。
――「なんのためのチャイムだ」ということもありますが。
すが:チャイムも電気代がかかると思ってて。
――そういうことですか。相当な節約家ですね。そんな暮らしから次に伯母さんが抜けるんですよね。
すが:はい。伯母さんがここにいるのはしんどいってなって。僕を連れて「東京に行きたい」って誘われたんですけど僕は断って。
その後、おじいちゃんも病気になって亡くなって、おばあちゃんも体を悪くして老人ホームに入って僕が一人になりました。
――中学生1年生で一人になってしまったすがちゃんを、お父さんは心配しませんでしたか?
すが:いや、「一人暮らしぐらい大丈夫でしょ」って感じでした。
(取材・文:インタビューマン山下)