■「今後は病気に関する啓発活動もできたら」
現在は週2~3日のリハビリと投薬で、足の平衡感覚や尿意、便意を取り戻すための努力を続けているが、それが1年で終わるのか、一生続くのかは不明だという。
それでも、佐藤からは入院直後のような弱気な発言はいっさい出てこない。
「仕事もできることから少しずつ始めていきたいと思っています。下半身が動かせないので、上半身だけでできること、たとえばトーク番組やイベントのMCなどをやらせもらえたらありがたいです」
さらに、これまでの活動に加えて、取り組んでいきたいことができたと佐藤は言う。
「脊髄梗塞は恐ろしい病気ですが、症例数が少ないため世間にほとんど知られていませんし、保険も三大疾病の対象ではないので下りず、治療費は自己負担でした。今回の経験を生かして、病気のことを知ってもらう啓発活動をしていきたい。同時に、僕と同じ境遇にいる方たちの希望につながることをできたらと考えています」
インタビューの最後に、闘病を支える家族への思いを尋ねると、ちょっぴり照れくさそうにこんな話をしてくれた。
「入院後、最初に僕が決めた目標は、妻との結婚記念日の11月までに退院することだったんです。それがなんと、妻の誕生日の9月までに前倒しでかなえることができました。
結婚記念日には毎年ダイヤモンドのネックレスを贈るのがお決まりだったのですが、以前それを妻がなくしたことがあって(笑)。今年のプレゼントは改めて考えようかな」
夫の笑顔こそ、30年連れ添った妻にとって、これ以上ないプレゼントであるに違いない。