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「いまから1年前、10月27日の血液検査で腫瘍マーカーの数値が通常の10倍だったんです。数年前に検査していたときも、少し高い数値だったのですが、コロナ禍でずっと精密検査を受けていなくて。CT検査をしたら肺がんと診断されました」

 

そう神妙に語るのは、『紅白歌合戦』の常連歌手だった山川豊(66)。現在、ステージ4の肺がん闘病中だ。

 

「もともとはヘビースモーカーでした。がんと言われるまで病院の前でたばこを吸っていたほどです(苦笑)。紹介されたがんの専門病院で検査を受けたときから胸騒ぎがしてね。検査結果を聞きにいったら『ステージ4』ですと言われ、『あぁ、そうですか……』と答えるのが精いっぱい。さらに『頭のほうにも2カ所飛んでますね。頭のほうはそんなに大きくはないけれど、脊髄にもありますね』と言われて……」

 

脳と脊髄への転移が認められ、「手術ができないステージ4」と説明を受けたという。実は山川は2年前の8月、’92年に結婚した女性離婚していた。財産分与として東京都内にある自宅は元妻が持ち、自らは一人暮らしをしている。長女は独立し、長男は山川のマネジャーを担当していることもあり、“告知”には長男が立ち会ったが――。

 

「ステージ4と言われたときは、息子とね、前の女房も来てくれたんです。最初は“なったものは仕方ないよね”と、そういうふうに考えるしかなかったんですが、それから3日後くらいから異常な恐怖に襲われました。『もうダメかもしれない』と、4日目に兄貴(鳥羽一郎)に電話してね。お葬式やお墓のことを話したら、兄貴に『バカ野郎! どんなことをしてもいいから治せ!』と怒られたんです」

 

2カ月間は、気持ちが落ち着くことがなかったという。

 

「治療を始めて、肺の組織をとったときに肺が少ししぼんじゃって。仕事が1日だけ残っていたので、手術3日後にステージに立ったら、とんでもない痛さで。なんとか歌いきりましたが、ものすごく苦しかった。恐怖で夜は眠れないし、ようやく寝られても、今までお世話になった人とか、いろんな人が夢に出てくるんです。精神的に相当やられました」

 

現在は「タグリッソ」という治療薬を用いているという。

 

「細胞を採取して、遺伝子レベルで調べた抗がん剤が運よく効いたんです。いまは唾液もしょっぱく感じたり、手足やお尻の湿疹や下痢など、いろいろな副作用がありますが、歌も歌えているから、幸運だったと思っています。ようやく光が見えた感じでした」

 

一人暮らしだった山川だが、闘病生活には家族のサポートが。

 

「最初は洗濯とか掃除とか、自分で全部やっていました。でも息子が来て薬を塗ってくれたり、娘が言ってくれて、前の女房がブロッコリーを入れた野菜ジュースを作ってくれるんです。それを娘が持ってきてくれます。本当に感謝しています」

 

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