「今回は本当に変わりましたもんね。ずっと見てきた番組なので、私は全部楽しく見させていただきました。出なくてよかったなと思って(笑) 出たら出たでいいんだろうけど、私がいても“おばば感”がことさら際立っちゃたかも」
そう明るい笑顔で語るのは、’22年、’23年の漫才日本一決定戦『M-1グランプリ』(ABCテレビ・テレビ朝日系)で決勝審査員を務めた山田邦子(64)。
令和ロマンが史上初の2連覇を果たした昨年末開催の大会(以下、今大会)では審査員を外れたが、視聴者の1人として楽しんだという。
いっぽう今大会は開催20回の節目となり、審査員のメンバーと人数が一新されたことも大きなトピックスだった。前大会までの7人体制から9人体制となり、芸能活動を休止しているダウンタウン・松本人志(61)が不参加に。
そして審査員席に座ったのは、アンタッチャブル・柴田英嗣(49)、海原ともこ(53)、オードリー・若林正恭(46)、かまいたち・山内健司(43)、ナイツ・塙宣之(46)、中川家・礼二(52)、NON STYLE・石田明(44)、博多大吉(53)、笑い飯・哲夫(50)。このうち柴田、若林、山内は、初めての参加となった。
世代交代による“若返り”を感じさせるだけでなく、審査員全員が漫才師で統一されたことも大きな変化だった。“非漫才師”として審査員を経験した山田は、こうした点をどう見ただろうか?(全2回・前編)
「『一般の高齢者の方がもう見てないんだ』って思っちゃうようなキャスティングでしたよね。でも、一番売れてる子たちが審査したんだから、これはこれで華やかだったなと思いますよ。審査員はすごい緊張してましたよね。あそこに座った身としてわかるんですけど、独特な空気が流れてるなかでよく頑張っていたなと思います」
いっぽう大会終了後の大晦日に放送された『あちこちオードリー 新春ノーカットSP』(テレビ東京系)では、伊集院光(57)が呈した“懸念”も注目を集めていた。
番組で「『M-1』の審査員っていつからこんな漫才の人だらけになった?」と、疑問視した伊集院。大会当初は劇作家・鴻上尚史氏(66)や落語家・立川談志さん(享年75)などバラエティに富んだ人選だったことを指摘し、「『M-1』に出たことある人たちで、しかも『M-1』がちゃんとステップになった人たちが全員審査員でいいの? すごい特殊じゃん。そういう文化って滅びない?」と苦言。その上で、漫才の技術を見る視点が「どんどん鋭角していくじゃん」「滅びるよ」と憂いていた。
そんな伊集院の気持ちを、山田はこう推し量る。
「伊集院くんは頭がいいからそうやって言うけど、多分、“バラエティとして老若男女にウケるお祭りなのに”って意味だったのでしょうね。審査員全員が漫才師になったことで、“偏ってる”っていう風に見たんじゃないかしら。私はそれはそれで、いいような気がするけどね」
とはいえ、こう理解も示していた。
「もうお祭りなんだったら、いろんな人が審査員席に座るべきでしょうね。いままでの歴史を振り返ればね。やっぱりすごい重鎮と言われてるような辛口の人やら、いろんなジャンルの人がお座りになりましたもんね」
